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皆川博子コレクション3冬の雅歌 (皆川博子コレクション (3))

皆川博子コレクション3冬の雅歌 (皆川博子コレクション (3))

皆川博子コレクション3冬の雅歌 (皆川博子コレクション (3))

作家
皆川博子
日下三蔵
出版社
出版芸術社
発売日
2013-07-19
ISBN
9784882934424
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皆川博子コレクション3冬の雅歌 (皆川博子コレクション (3)) / 感想・レビュー

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文庫フリーク@灯れ松明の火

「本書に収められた十の短編はどれも、<異形の愛>を描く。<異形の愛>とはすなわち<狂気>である。<狂気>とは云うまでもなく、我々全ての中にその可能性が埋め込まれた<心の形>である。<現実>という名の<幻想>を舞台に--、昏く燃え続ける情念を。鮮やかに弾け散る激情を。残酷でしなやかな悪意を。恐ろしくも甘美な悪意を。濃密な闇のキャンバスに皆川博子が描く絵は、鳥肌が立つほどに、凄まじい。」皆川博子作品を読まれた方なら、大きく頷いてしまう文章は『悦楽園』の帯に書かれた綾辻行人さんの推薦文。この本には七つの作品が→

2014/11/18

藤月はな(灯れ松明の火)

表題作は『巫子』へと繋がりそうなモチーフが使われていました。精神病棟で再会した異父妹を絶対神でもある父からの解放を願いながらも実は何一つ、理解していなかったという事実が虚しい。『海の輝き』はマルシェ的女のヒロイン気取りの傲慢さを炙り出した『太陽がいっぱい』。ただし、皆川版ではトム・リプリーは死に、ヘンリーは生き残るのですが。『祝婚歌』は女に冷感症と断言し、金欲しさのために治療と称する康志に憎悪が湧きました。『黒と白の遺書』は男子の少女に対する甘い幻想を嘲笑しつつも明理と荻島の行き着いた結末に切なくなります

2013/10/08

ぐうぐう

長篇「冬の雅歌」と、第三短篇集『祝婚歌』から三篇、そして単行本未収録の三篇を収録した『皆川博子コレクション』第三巻。これまで一度も文庫化されていない作品とは信じられないクオリティを、どの作品も誇っている。中でも印象深いのは、短篇「海の輝き」が再録されてこなかった理由だ。皆川博子によれば、この作品は立原正秋のある短篇から舞台を借りているらしい。出来上がった作品は、まったく別物になったものの、純粋な創作とは思えず、その自戒により再録を拒んできたのだとか。(つづく)

2014/03/30

吉野ヶ里

コレクション第三巻のテーマは「愛と狂気」。表題「冬の雅歌」は、精神感応ものって感じ。一人の少女の狂気を作り上げた環境と、一人の少女の狂気が作り上げる物語が丁寧に描かれる。家庭や、付き合っていた男や演劇などに、徐々に美於が蝕まれていく様子が生々しく描かれる。あくまで貢を中心に巻き込まれ、感応し合う周囲からの視点で物語に入り込めるので、なんとも言えない寂しさが胸に残る。「祝婚歌」少女時代の憧れに呪われた女の話。銅版画という小道具がいい仕事をしていて、作品全体を金属と硝酸の香りで満たしている。

2020/08/13

rinakko

嗚呼、ここにもかつての巫子がいた…と思った表題作は、海を見下ろす精神病院の療養所を舞台に、袋小路のように澱んでいく狂気や倒錯を描いた作品。看護夫とは名ばかり雑役夫として働く江馬貢、その従妹で患者の美於、医師天羽たか子…。鬱屈も悲憤も行き場なく、ただその狂おしさだけが増していく。息苦しさの中、禍々しく妖しく揺らぐ須臾の陽炎に憑かれた。短篇もとてもよかった。とりわけ好きなのは「黒と白の遺書」「もうひとつの庭」。少女と血、少女と恍惚…という、背徳の情景にうとり刺しとめられる。抑制された性の、狂った綻びが胸を衝く

2013/08/16

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