皆川博子コレクション8あの紫は わらべ唄幻想
皆川博子コレクション8あの紫は わらべ唄幻想 / 感想・レビュー
ぐうぐう
『妖笛』は時代小説集。能に素材を得た作品がいくつかあるが、表題作は忠臣蔵異聞とも呼ぶべき短編で、吉良上野介の孫で無残な生涯を送り若くして死んだ吉良左衛門を登場させる辺りが、なんとも皆川博子らしい。『あの紫は わらべ唄幻想』はわらべ唄をモチーフにした幻想小説集。冒頭の「薔薇」の妖しさと余韻がたまらない。泉鏡花のわらべ唄を主題にした「あの紫は」も心に残る。「あ、夢の人は手首だけでしたね。手首だけでも、女の人ってわかるんですか」「夢だから」「あ、そうか。夢だと、不合理なことでも通っちゃうんだ」(つづく)
2020/07/17
夏子
どれも怪しくて美しい毒のある話ばかり。好みの世界観でするすると読んでしまいます。最後のエッセイは話題も時代を感じるものが多くて興味深い。
2015/11/20
rinakko
とりあえず今回は、未読だった『あやかし幻想奇譚』と第四部のエッセイを。三橋鷹女の「夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり」のこと、エッセイにも書かれてたのか(講演会でも触れられていた)…と嬉しく読んだ。短いけれど凄く好きな一篇。
2015/09/16
秋良
皆川作品にどっぷり。兄妹ものが多かったような。沢山ありすぎてどの話か忘れたけど、抱きしめられて死ぬってイメージとしてはすごい良いと思った。
2017/01/21
あ げ こ
何処より声は響くのか。近く、遠く、姿は見えず。痛みを、歓喜を物語る声だけが、静かに届く。怪しき語り手。映し出す色は艶麗。漂い、触れれば柔らかにほどけ、香る。妖しき名。潜んでいる。不気味であると、不快であると告げる、厭悪の視線を逃れるよう。退廃に耽り。そして沈み込んで行く。現を離れ。艶やかな笑みをたたえ、沈み込んで行く。時間も、区切りもない。闇へ。淫靡に満ち、渇きを潤す。陰惨に溢れ、残酷な願いを叶える。闇へ。自ら望み、囚われたまま、彼等は至福を物語る。悲しみを物語る。
2016/06/20
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