筒井康隆コレクションII 霊長類 南へ
筒井康隆コレクションII 霊長類 南へ / 感想・レビュー
ぐうぐう
現在入手困難となった小説を収録した『筒井康隆コレクション』の第二巻。表題作は、最終核戦争を描く。刊行当時(1969年)、核戦争勃発を描くSFは山のようにあったのだろうけれど、そのシチュエーションがドタバタコメディになるという発見が、いかにも筒井康隆らしい。しかし、なんといっても本巻の読みどころは、続く長編『脱走と追跡のサンバ』だ。学生時代以来の再読となったが、十代の頃、なんて斬新でおもしろい小説をなのだろう!と、のたうち回った記憶が鮮明に蘇ってきた。小説の可能性に感動したのだ。(つづく)
2016/02/13
erierif
肉体的にも精神的にも驚くほど人のタガが外れて原型を失っていくのがなんだか、とっても、いっそ気持ちが良かったです。血みどろの汚物まみれなのに乾いた笑いがこみ上げてしまってなんでも良くなってきたり。『マリコちゃん』3篇は昔読んだのを鮮明に思い出した!お父さん……。
2015/07/03
渡邊利道
『霊長類南へ』と『脱走と追跡のサンバ』の合本という超豪華な一冊。どちらも何度読んでも面白い。「南へ」は、ドタバタと言いつつ透明な悲哀感というか虚無感に全編が浸されていて忘れ難い。「サンバ」もアドリブ的展開が徹底されてナンセンスから原初的な物語(落語や講談を思わせる)が立ち上がっていくラストにはちょっとジョイスを連想した。全集未収録ものの「マッド社員」シリーズはなるほどちょっと薄味のスラップスティックサラリーマン物で、面白いがきれいにまとまりすぎているかもしれない。
2017/05/15
法水
この筒井康隆コレクションを購入する人は大半が熱心なツツイストであろうから、『霊長類 南へ』も『脱走と追跡のサンバ』も既に読んだことがあるであろう。かく言う私もどちらもおよそ20年ぶりの再読だが、最初に読んだときよりも遥かに面白く感じた。筒井作品は「現在を予見していた」などと評されることもあるが、多少のSFマインドがあればある程度の未来の予想はできなくはない。それよりもすごいのは、刊行から40年以上経っても小説としていささかたりとも新鮮味が失われていない点である。今後の刊行も楽しみ。
2015/03/23
耳クソ
「マッド社員シリーズ」が最高すぎたww
2021/01/28
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