筒井康隆コレクションIII欠陥大百科
筒井康隆コレクションIII欠陥大百科 / 感想・レビュー
ぐうぐう
『欠陥大百科』と『発作的作品群』を収録した『筒井康隆コレクション』3巻。本シリーズの基本的なコンセプト(というか、日下三蔵の編集本のコンセプトでもある)は、入手困難な作品を優先的に収録するということなので、これまで完全な形では再刊されたことのない二冊が今回も選ばれている。『欠陥大百科』は、のちの『現代語裏辞典』や『筒井版 悪魔の辞典』の原型とも呼べるパロディ辞典だが、実のところは、あちこちに発表したエッセイやショートショートを強引にまとめて一冊のボリュームにした印象が拭えない。(つづく)
2018/04/26
おかだん
再読。3回目位だと思うが、読んでて初めてイライラした箇所があり、その事がちょっと悲しかったりする。多分こちらが年老いてきているのだろう。相変わらず凄いし、これ程頭のいい人も他にいないと思うんだが、「先端を凌駕する俺」みたいな若い自負が鬱陶しく思えるのだ。特に女性に対するあれやこれやが余りにも類型的で「百回くらい聞いたよ」と言ってあげたいくらい。筒井氏の様な凄い人でさえこれなんだから当時の女性がどれだけ鬱屈しただろうと感じ行ってしまう。
2024/03/18
渡邊利道
欠陥大百科は単行本が秀逸だったが、いまは手に入らないらしい。発作的作品群はエッセーが特にタブーへの侵犯を主題にしたものが多く、作者の小説の書き方含めある意味でとても本質的なものがある。「やってはならないこと」を、文章(虚構)の領域で面白がってやることに価値があるというのは一種幼児的な全能感やナルシシズムを感じる。ツツイストやSFファンというのがそこでは甘い共犯意識になる。「やぶれかぶれのオロ氏」はこのタイミングで読むと現在の国会のパロディにしか見え、これは作者がというより自民党がすごいんだろうなあ。
2017/05/29
shuha
SF作家の未来予想に驚くことが多いが、筒井氏も流石の慧眼。ただ、書き飛ばし感も否めない。そういう時期、時代なのかな。
2018/07/05
岸田解
『筒井康隆入門』で熱が再燃したので、約二年ぶりに続巻を。いやはや、このブラックさは堪りませんね。初出の一覧などを見ると、当時の筒井さんが如何に引っ張りだこだったかが窺えます。/『Ⅳ』もまた近い内に。
2017/11/10
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