アネモネ駅
アネモネ駅 / 感想・レビュー
pirokichi
『死者の書』、『見晴らしガ丘にて』に続いて近藤さんの作品は3冊目。本書は表題作を含む8篇。離婚後女手ひとつで育てた娘を理解できないと苦しむ母親、浮気した夫が家を出た後も姑に従い続けた嫁、かつて憎んでいたことを忘れてしまった認知症の老妹に慕われている兄、母親を早くに亡くした男所帯に嫁ぎ心を尽くす長男の嫁の話など、どの作品もしみじみ味わい深く、心が温まり、1篇の良い小説を読んだ心地がする。解説は群ようこさん、装丁は南伸坊さん。内容はカバー画の印象とちょっと違うかも。
2021/02/21
ムーミン2号
家族との関係性がギクシャクしているエピソードや、他人との関りを避けようとする若者、あるいは独身女性のお話など全8編の短篇集。ダンナの浮気話とか離婚とかが割と印象に残っているが、家族だからこその愛憎、家族になってしまったから招いてしまうことへの身の処し方。8編の中では、主人公たちはそれにぶつかり、時には涙し、悲しみ苦しみながら少し長い時間をかけて、それらを静かに乗り越えていくく。その様子がちょっとばかりすがすがしい。これらは「通販生活特大号」に掲載された作品群。
2024/01/02
Gen Kato
ウン十年ぶりの再読。当時の読後感は覚えていないけど、きっと当時とは違う感想だろうなあ。『褪紅』と『同窓会』『鬼市』が好きです。
2024/08/04
新田新一
近藤ようこさんの短編集。艶めかしい表紙ですが、そんな話はありません。少し前の彼女の作品を思わせる、しみじみとした情感を感じる温かい物語が多いです。ぎっしり書き込まないで、余白を多く取った画風が印象的で、静かな雰囲気を感じました。遅い結婚をした女性が、男ばかりの家庭で戸惑いながら、幸せをつかむ「おふくろの味」が特に好み。五目ずしというありふれた家庭料理が、うまく使われた物語です。
2023/06/18
chu
家族の愛憎を中心に描く短編集。安易にバッドエンドじゃないところがいい。わかり合えなくても家族、憎しみあっていても家族。親子、兄弟、夫婦のつながりは、簡単には終わってしまえない。
2010/05/14
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