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246 / 感想・レビュー
Kajitt22
『旅のつばくろ』を思いがけず楽しんだので本棚より記憶にあまりない一冊を。こちらも読んで良かった。著者39歳の一年間の日記のかたちをしたエッセイ。刊行は2007年だが書かれたのは1980年代半ば。バブル期前の作家のリアルな日常を読みながら、当時の自分の仕事や交友を反芻することができた。日記に出てくる『血の味』や『キャパその青春、その死』は他の作品と比べ当時あまり響かなかったが、今読むとまた違うかもしれない。著者はやはり旅の作家なのだろう。『旅のつばくろ』の続編を読もうと思う。
2024/04/29
ステビア
日記風エッセイ。ファンにはたまらない。一気に読んでしまった。いくつか気になった点:1.娘のことは頻繁に描かれているが、奥さんは殆ど出てこない。2.「吉行淳之介がエッセイしか書かなくなった今、注目している作家は古井由吉と日野啓三」!3.『酔いどれの誇り』。
2014/10/17
おおきなかぶ
著者の作品は”敗れざる者たち”を10年以上(?)前に読んだ程度ですが、本人が名付けた「日記のようなもの」の当エッセイ集は、言葉や人に対する著者の誠実さを強く感じました。良いアクセントにも感じられた、幼い娘さんへのオハナシ。三匹の子豚たちが狼を騙してピザハットに連れて行ってもらう「三びきの子豚ーファーストフード・レストラン篇」を最後まで聞きたかった。本編ラストの国道246号とその上を走る首都高速のイラストが、作品を締めくくるに相応しいものでした。
2017/01/09
ジュースの素
沢木氏が39歳の時の一年間の日記。娘とのやり取りが多く 微笑ましい。 当時は今よりもいろいろに社会の余裕があったなぁと感じる。打ち合わせの店なども高級店だったりするし。 しかし、多くの著名な人と交流があったんだと驚きながら読んだ。「深夜特急」を世に出す直前の日々。
2015/05/27
やし
これは面白かった。もともと作家の取材ノート的な書物は好んで読むのだけれど、この日記スタイルのエッセイには取材ノート風の読み物以上に、日ごろの人間関係のとり方、仕事への姿勢、2歳半の娘さんとの発見と平凡な日常の中のちょっとしたきらめきを垣間見せてくれる本となった。沢木ファンでなくても読み応えがあるし、1986年の38歳の沢木耕太郎氏を読むことで、ちょうど20年年下の高校生だった自分自身をふと思いだしたりする不思議な本だ。そもそも1986年の日記風エッセイを2007年に出版するなんて!
2011/02/20
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