ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース(柴田元幸翻訳叢書) (Switch library)
ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース(柴田元幸翻訳叢書) (Switch library)
- 作家
- 出版社
- スイッチパブリッシング
- 発売日
- 2015-07-07
- ISBN
- 9784884184421
ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース(柴田元幸翻訳叢書) (Switch library) / 感想・レビュー
ケイ
モームを入れて欲しかったです。読み応えのある選び抜かれた短編たち。自らが好きな短編を、原作に忠実に、読者が引っかかりなく読めるようにと力を尽くして訳されている。最後の作者ごとの解説は宝物。1.スウィフト「アイルランド貧民の子…」現実に対する作者の厳しい目と、吐かれる毒。読んではいないが、久坂部氏の「廃用身」を思った。2.オーウェル「象を撃つ」植民地においてイギリス人が感じたこの孤独や不気味さはモームにも見られる 3.コンラッド「秘密の共有者」世界を航海するとは、色々と考えることなのだと思った。
2015/11/17
藤月はな(灯れ松明の火)
野心家だったのに出世を阻まれたため、厭世家になり、人や権力を呪詛し続けたスウィフトの「アイルランド貧民の(長すぎるので以下略)」は「食糧がないならパンの代わりに貧民の赤ちゃんを買って食べればいいじゃない」という仰天の話で幕を開ける短篇集。そんな著者の最後の言い分はまさにエゴイストの極みで怒りを通り越して苦笑せざるを得ません。そして長い上、難解な印象が強すぎるジョイスの作品がどれも身近な事象で心のひだに浸透するような話なので印象がガラリと変わりました。植民地時代を描く『象を撃つ』や『秘密の共有』も素晴らしい
2015/09/12
ずっきん
のっけから予想の遥か斜め上をいくスウィフト! ああ、英愛文学って、好きだわ~♪ ディランの「ウェールズの子供のクリスマス」がダントツに好き。オーウェル、コンラッドもよかった。読んだばかりのサキの「運命」の翻訳比べ読みも楽しかった。あと、ジョイスってすごいね。こんなリリカルな諦念というか絶望は読んだことがない。傑作古典ホラーもたっぷり収録されていて非常に読みやすい。ディケンズの「信号手」の序盤は柴田さんをもってしてもこんなに読みづらいのかと再認識したけれど(笑) さて、米マスターピースもいこう♪
2019/11/24
miyu
書き手の違う短篇を集めたアンソロジーは初見の作家と巡り合うにはよいが、既読作家ばかりが集まったものだと戸惑うものだ。しかし柴田氏の翻訳でブリティッシュ&アイリッシュときたら手に取らないわけにはいかない。ジョイスの2作がやはり好きだ。短い中で語り尽くすような、語りきれなかったような。その隙間を勝手に一人で想像して幸せな気分になる。特に「エヴリン」、最後まで切なさが身に染みた。サキ、ジェイコブズは安定の上手さ。柴田氏の名訳を持ってしてもコンラッドの思わせぶりな感じは苦手だった。意外にメアリー・シェリーが好み。
2015/10/17
kazi
マスターピースと銘打たれている本短編集ですが、一作も読んだことありませんでした(^▽^;) しかし英国人・愛蘭人って短編のイメージないよね・・。米国のような短編小説文化って無いんじゃないかしら?これは苦しい言い訳か。マスターピースなだけあって読み応えある作品ばかりだったが、個人的ベストを上げるなら、ジョージ・オーウェルの「熊を撃つ」かな~。英国の植民地支配に関する短編なのだが、相変わらず素晴らしく社会的で核心ついてきてると思った。『誰か一人でも私が象を撃ったのはひとえに、
2020/09/08
感想・レビューをもっと見る