どこであれそれが見つかりそうな場所で (HARUKI MURAKAMI 9 STORIES)
どこであれそれが見つかりそうな場所で (HARUKI MURAKAMI 9 STORIES) / 感想・レビュー
アキ
村上春樹バンド・デ・シネ第6巻。主人公は中年の男。依頼人は35歳主婦。夫はメリルリンチ証券勤務。夫が2階下の義母の部屋から行方不明になる。男は現場の階段で消えた人を捜す。すべての出来事はあとにしるしを残す。大事なしるしを我慢強く注意深く探す。遂に胡桃沢さんは仙台駅で発見された。現実の世界に戻ったのだ。私はまたどこかべつの場所で探し求めることになるだろう。どこであれそれが見つかりそうな場所で。世の中には不思議なことと、それに興味を持つ人がいるのだ。フランスの独特なタッチのマンガで読むとまた違った味わいになる
2019/12/13
キジネコ
「場所」に鏡がある話が他にもあります。「それ」もよく出てくるモチーフ。繰り返し提示される「それ」が私にはコワイ。私達は手触りのある「これ」の世界に生きていますが「これ」であって「これ」ではない「それ」、自分自身の「影」の様に自分であって自分ではない、その誤差の存在に怯える「私」を村上作品に自覚する息苦しさ。まるで「鏡」一旦「鏡」の中に「それ」の気配を知ってしまうと目が離せなくなる。その「怯え」の枯地に降る一滴の雨の様なユーモアも又魅力。このバンドデシネの妙味は、拮抗する「怯え」とユーモアにあると思います。
2023/07/25
ぐうぐう
『東京奇譚集』収録の「どこであれそれが見つかりそうな場所で」のバンドデシネ。このシリーズの魅力は、フランス人漫画家の目を通すと見慣れた日本がほんの少し違和を生じるさせることにある。夫の失踪を妻が伝える警官が、きちんと警視庁の制服を着ていることからもわかるように、コミカライズするにあたって漫画家は、日本のことを丁寧に調べてはいる。けれど、何か変なのだ。そのほんの少しの違和感が、妙な味わいをもたらしている。それが、『東京奇譚集』という短編集の奇妙さとマッチしているのがいい。(つづく)
2020/10/06
こたま
突然失踪した人間を探す際、まずは捜索願。が、事件性がなければ受理されるだけのことも多く、次の段階としてプロに依頼する(場合もある)。本作では依頼を受けた主人公が探す過程が描かれるが、それが何とも面白い。見つけるために情報を集めているのか、それとも情報を集めること自体が目的になっているのか?何であれ、「どこであれ見つかりそうな場所で」それは見つかる。
2020/02/05
縁川央
小説と違って漫画だとカメラワークを意識しちゃうよね
2019/11/30
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