【新訳】吠える その他の詩 (SWITCH LIBRARY)
【新訳】吠える その他の詩 (SWITCH LIBRARY) / 感想・レビュー
buchipanda3
白を基調にしたシンプルな装幀の小ぶりな本。それは洗練された質感だが、つい無作法に手に取って本をよじらせながらページを捲っていた。著者は50年代アメリカのビート文学の詩人。表題作は、「ぼくは見た」で始まり、アメリカの裸の精神の苦しみを歌い上げる、いや、ジャズの音色のように不定形なリズムで矢継ぎ早に言葉を奏で続ける。息継ぎなんて不要。Howl、嘆きだが絶望ではない。むしろ無心の信念。真っ裸な言葉は心の自由を曝け出す。ホイットマンとの空想共演の詩も良い。詩人が詩人を想う姿にくすぐられる。二人には何が見えたのか。
2022/11/16
nobi
cryでもshoutでもなく野性味あるhowlが原題。正に遠吠えのような音(声)の連なり。最初就寝前に読み始めてすぐに力尽きた。これはテンションが高くなくては読み進めない。乱反射的支離滅裂に見える。ドラッグの経験あるにしても意識鮮明で緊張感なければこんな単語の連発も組み合わせも出てこない。その印象が本人による朗読の様子を聞いて変わった。若者達は聞き入っていても時々どよめいたり拍手したりしてる。当時の気分、既成概念を皆ぶち壊す風潮、歯止めを失った行為の果ての惨めさ虚しさ…を表すにはこの詩型がぴったりだった。
2021/01/25
なる
ビート・ジェネレーションが自分の中で唐突なブームになったので、ビートの嚆矢となったギンズバーグの詩をチョイス。詩の中には彼らの仲間であるケルアック、バロウズ、キャサディを彷彿とさせるものも。自動書記なんじゃねえの、と思えるような言葉の洪水に圧倒される散文詩は原文で見たらまた変わるのだろうか。それでいて残るものがないのが却って凄い。言葉が区切られずにひとつながりのような詩になっているのもシュールで好み。このとらえようのない散文が大ブームになったところにアメリカの閉塞感が窺える。柴田元幸の解説も良い。
2022/10/31
けんとまん1007
凄いエネルギーを感じる。その時代のアメリカの空気なんだろう。それは、今も無くなっていない・・・どころか、増幅しているのではないだろうか。
2021/01/19
Y2K☮
ビート・ジェネレーションを代表する詩集。ケルアック「オン・ザ・ロード」を読んでもピンと来なかったがおかげでどっぷり。体制にぶちかまさんと吠える煽情性はマヤコフスキーを連想させる。違いがあるとすれば、お上品な偽善を憎むがゆえに(ブコウスキーのエッセイや小説にも見られる傾向)露悪を潔しとする赤裸々さ。そして繰り返しの多用。「アメリカ」を見てドリアン助川が「子どもたちよ!」と叫んでいたのを思い出した。あと「吠える脚注」は町田康に影響を与えたと推測(妄想?)。たぶん富と名声を得る前がピーク。バロウズの詩もいずれ。
2023/01/12
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