アホウドリの迷信 現代英語圏異色短篇コレクション
アホウドリの迷信 現代英語圏異色短篇コレクション / 感想・レビュー
まこみや
すぐにわかる本は退屈だ。あまりにわからない本は読み続けることができない。本書に所収の短篇はそれぞれ度合いは違うけれど面白さとわからなさとが拮抗している。私の中では、レイチェル・クシュナーやルイス・ノーダン、ローラ・ヴァン・デン・バーグやリディア・ユクナヴィッチの作品は面白さが勝っていて、デイジー・ジョンソンやサブリナ・オラ・マークの作品は分からなさが勝っている。特にサブリナの作品は本当に訳がわからない。でもまあ短篇だからなんとか読むことができました。
2024/10/24
J D
アンソロジーは、新たな作家さんとの出会いがあり楽しい読書。今回は、柴田元幸さんと岸本佐知子さんが選んで翻訳されたアンソロジー。副題に「現代英語圏異色短編コレクション」とあるとおり個性的な作品が溢れていた。貴方の好みの作家さんを見つけて下さい。と言われている感じ。私が気に入ったのは、ローラ・ヴァン・デン・バーグの「最後の夜」とルイス・ノーダン「オール女子フットボールチーム」でした。作品の合間に挿まれる柴田さんと岸本さんの掲載作品に関するお話しがまた良かった!おすすめです。
2023/04/10
カフカ
翻訳家の岸本佐知子さんと柴田元幸さんが、日本でまだ紹介されていない英語圏の海外短篇小説を選んで編訳した本。幻想的というか、結構クセ強めなものが多かった。お二人の対談も載っているのだが、お二人も「何が書いてあるかわからない」と言っているのもあり、それを載せるのが面白い。巻末に、この短篇が好きなら誰々のあの小説がお勧めというのがそれぞれ記載されていて、私はレイチェル・クシュナーの「大きな赤いスーツを持った女の子」が好みだったので、リチャード・パワーズの「舞踏会へ向かう三人の農夫」がお勧めらしい。読んでみます。
2023/03/28
藤月はな(灯れ松明の火)
「足の悪い人にはそれぞれの歩き方がある」は音楽的に配される短文の重なり、更に段落の少なさによる物語のメロディ性が目を惹く。小父かもしれないし、父かもしれない男性を失望を抱えながらも熱心に待ち続ける女系達と彼女達を冷静に見つめながらも日常を過ごす子供達の微温めいた差が癖になる。本当に大人よりも子供の方が大人である事はよくあるので。「アガタの機械」は天才児、アガタの部屋のディテールが懐かしくも後ろめたい官能性が籠った甘やかさを醸し出す。だからこそ、ラストのグロテスクさとそれでも存在する地に足着いた生活感に酩酊
2022/11/11
キムチ
そうそうたる顔ぶれのお二人~柴田氏と岸本氏。各々が好きな短編を選び、訳して語り合う。作品と語り合いを交互に掲載し、読み手に作品の醍醐味と訳者の感性、興奮を臨場感宜しく提供するという趣向・・だろう。残念ながら、柴田氏はもともと好きだったので興趣を感じられたけれど。岸本氏は共鳴を抱けなかった。一方的に上がるテンションをますます白けた思いで最後まで引きずったのが残念。個人差あるだろうけれど、作品の中でこれと言ったのはなかった。
2023/02/16
感想・レビューをもっと見る