父の帽子 (大活字本シリーズ)
父の帽子 (大活字本シリーズ) / 感想・レビュー
myaown
群ようこや角田光代のエッセイで度々目にする名前なので興味を持った。鴎外の娘というのはぼんやり理解していたが鴎外作品をちゃんと読んだことすらないままなのはやはり惜しい。幼い頃から昭和30年代頃までの作品をまとめている。私だったり未里だったり人称はバラバラだが森茉莉というひとりの女性が(何も知らずとも)浮き彫りになっている様に読めた。殊に歳を重ねてから書かれた「夢」の虚ろに過ぎ去って行く時を振返る様に現われる"影"の捉え方が読んでいて辛い。「空と花と生活」には鋭い観察眼も伺われる。
2017/12/05
rinrin3
2世作家週間と勝手に題して、森鴎外の娘の著作も初めて手に取り読んだ。鴎外は上から目線がどうにもこうにも耐え難く、到底好きな作家ではない。特に『半日』は奥さんにひどすぎる!と思っていたら、著作の中で、『半日』についても触れられていた。娘目線で鴎外を垣間見たのは興味深かったけれど、美化されすぎて、欠点がひとつもでてこないのが、逆にあっぱれな気がする。
2014/06/10
ひろゆき
初めて読んだ大活字本。原稿用紙のまま読んでいるような感覚で、なかなかいいかも。そのためか「赤さん」「肋骨の軍服」などの今は使わぬ言葉に興味をひかれる。鴎外の家であるために、世間の好奇の眼差しにさらされる家族の中での著者の思い出。幼児の感覚を再現しようとした文章多く、そこがとても気に入る。『高瀬舟』の発想が実際の鴎外の我が子の安楽死未遂からきていることを初めて知る。
2014/07/30
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