月光の道 (第5回東奥文学賞大賞受賞作品)
月光の道 (第5回東奥文学賞大賞受賞作品) / 感想・レビュー
岩巳岳雄(Takeo Iwami/leas201903)
作者はとてもいい先生なんだろうと思う。田舎らしい、素朴で綺麗な話。ただ、この物語が人間の姿をどれほど映し出しているかというと……うーん。小説には、人間の奥底の得体の知れない、名付けられないままのどろどろとした思いを、素手でもぎ取って曝してみせるような役割があると思う。現代の教育現場でこんなに綺麗な解決を迎えられるケースは例外的なんじゃないのかなあ。何にせよ、こういう作品を書く先生がいることは、県民としては間違いなく幸せではある。そしてそれは、読者として幸せであることを必ずしも意味しない。
2021/05/08
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