柄谷行人政治を語る (シリーズ/六〇年代・七〇年代を検証する 1)
柄谷行人政治を語る (シリーズ/六〇年代・七〇年代を検証する 1) / 感想・レビュー
あんどうれおん
評論家が自身の政治的体験などを語った本です。一読して、まず聞き手の誠実さに圧倒されました。インタビュアーの知識や準備が充実していることによって口述が面白くなる好例だと思います。現代とは似て非なる激動の時代に、柄谷行人という著名人が始めたり終わらせたりした活動を概観できる一冊です。ところどころ難解ですが、そのように感じる部分もまた、今後の学習に向けた契機にしたいと存じます。
2023/10/09
オーロラソース
偶然100円で売ってたので購入。著者は60年安保を近代日本が抱える問題が凝縮された日本独自のものと見る。社会主義に関しては倫理の重要性を説き、カントのいう「統整的理念」の仮象は「歴史的に統合失調症になる」としている。この「統整的理念」は国際政治にも適用できるものだと思った。E.H. カーが『危機の二十年』のなかで「あらゆる健全な政治的思考はユートピアとリアリティ双方に基礎づけられなければならない」と言ったが、リアリティを「不毛」にしないための理念が「統整的理念」なのでないか。
2013/04/21
takizawa
日本でデモが起こらない(盛り上がらない)のはなぜか。柄谷曰く、日本は徹底的に中間勢力が破壊された結果、個人は、具体的な個別社会を捨象した抽象的な個人としてしか存在できない。インターネットは、意見表明の手段としてではなく、匿名状態で解放された「原子化された個人」が、排他的・差別的な欲求を顕にする場にすぎない。もっとも、現代日本にも例外はあって、沖縄の県民大会。抑圧されたマイノリティは強いと思わされる(笑)。あ、昔の東大法学部生は皆、宇野経済学を勉強していたのだとか。見習わねば。
2009/06/15
さえきかずひこ
64ページから72ページにかけてのカントについての柄谷の理解が為になった。
2012/05/17
makarinx
小泉元総理が抵抗勢力と呼んで糾弾していたのが具体的にはどんな人たちだったのかなんて当時は考えもしなかったな……
2010/06/22
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