自由な新世紀・不自由なあなた
自由な新世紀・不自由なあなた / 感想・レビュー
阿部義彦
2000年刊。メディアファクトリー。同社で出している書評雑誌『ダ・ヴィンチ』に97年から99年に連載された、人生相談とその前後に雑誌に発表された長い文章を併せて単行本化したもの。昔から一貫してこの国の危機に警鐘を鳴らしてました。民度の低さ、既得権益にしがみついて変化を嫌う、同調圧力が強く、そこから外れる者を無条件で叩く。先ず教育!「皆仲良し」の協調性重視の一斉カリキュラムを辞めて、自立と相互扶助を重視する個人カリキュラムにシフトすべき。今の金融問題、政治問題、もう見放されてます。子供の国ネバーランド日本
2023/02/26
白義
本書は古典的な雑誌での人生相談が半分を占めるが、その相談への回答はかなり特異だ。相談者への悩みに直接にはあまり答えず、ずらし、社会背景の変化と自分自身の思想を全面に出し、読者に安心ではなく不安を芽生えさせる。その不安がリベラルな個人へのスタートに当たる。その後の各文では社会学や思想史から個人の自己決定を核とするリベラリズムを具体的に説き、小林よしのりや援交批判を撃っている。いわゆる、リベラリスト宮台真司の代表作。しかし、真の魅力はやはり本人の実存が仄かに見えるところだろう。なかなかの名著
2012/02/12
すー
繊細すぎるがために「意味から強度へ」の移行に挫折し自殺した少年S。彼を題材とした考察が「この世からきれいに消えたい」という著作だった。そして、Sのような人間はこの世界をどのように生きていけば良いのか?という問いに対する宮台真司の解答がこの本。「意味から強度へどのように移行すれば良いのか?」。その答えは「個々人が試行錯誤を通して考える他ない」というもの。宮台真司は自らの来歴を開示することでロールモデルのひとつを提供してはいるけれど、それを真似することでは救われることはない。それは少年Sが証明している。
2011/12/04
ビーフハート
書かれてから年月が経っているので、その主張や状況判断にはやや古さを感じるのは致し方ない。それでも現代成熟社会の中で如何に思考するか、の一つの指針となるのは間違い無い。
2012/05/17
tsutomu_39
成熟社会への変化と尊厳や共同体については他の著書と同様の記述。不自由な実存形式を持つ人々に自己相対化を計ってもらい、自由に生きるための知恵を得るための本。
2011/09/19
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