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囀(さえず)る魚

囀(さえず)る魚

囀(さえず)る魚

作家
Andreas Séché
酒寄進一
出版社
西村書店
発売日
2016-05-27
ISBN
9784890137268
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囀(さえず)る魚 / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

本好きにはたまらない北欧のファンタジー。内気な青年ヤニスは、神秘的な雰囲気を持つ女性リオに出会って、本をめぐる冒険の旅に出る。紙の本が持っている魅力が詩的に描かれ、読んでいると本好きで良かったと改めて思えた。本についての薀蓄が織り込まれているので、それを読む楽しみもある。例えば1907年は井上靖が生まれて、ジョイスが『室内楽』を発表した歳であることが分かった。ミステリ的な要素もあり、結末でリオの正体が明かされる。本の世界は全て繋がっており、その繋がりは人の人生を変えうる力を持っていると信じたくなった。

2018/09/15

紅はこべ

読み手が書き手にと変化し成長する一種のメタモルフォーゼ譚か。アーサーとリオとエインの正体にびっくり。独裁者が書物を検閲する理由に納得。今の日本も、ある本の出版差し止め判決のニュースとか見ると、そんな世界になりそう。ヤニスはフィクションと現実を混同しすぎているな。コナン・ドイルとセルバンテスの逸話も知らなかったので、驚き。

2017/01/08

mii22.

本好き、空想好きな人のための物語。子供の頃、物語と現実の世界の境界なく読書を楽しんだ時のような高揚感を味わった。物語を紡ぐということ、恋に落ちるということ、それは冒険の始まり、それは想像の世界の扉を開こうとすることだ。ラブストーリーでありファンタジーでありミステリでありもっと欲張った物語でもあり、本の持つ奇跡のような力や素晴らしさを伝えてくれる物語で面白かった。

2020/05/12

ケロリーヌ@ベルばら同盟

【第186回海外作品読書会】燈火に朧げに浮かび上がる書架とタイトル、物語の出だしの一文に心を摑まれ、手に取った作品。アテネの旧市街の迷路のような小路に佇む古書店。書物をこよなく愛する作家志望の若者と、謎めいた美しい古書店主を軸に展開する、めくるめく読書の愉しみ。本の「扉」は物語に入る為に、それとも物語から出る為に開かれるのか?あまねく命の源である大海原を波立たせる幾億の物語。書物が天地創造に等しいのであるならば、この世は最高の本…。数多の至言と、古今東西の名作への考察。読書好きを捉えて離さぬ至福の一冊。

2021/08/15

ゆかーん

鳥は囀るが魚は囀らない。そんな定義を覆す発想を秘めているのが『囀る魚』。物語を生み出す力には、型にはまったルールは存在せず、自分の好きなように思ったことを書く。そこから、物語の魅力は生まれるのだということを学びました。主人公のヤニスが恋した書店員リオの正体は、物語を美しく彩る女神…。文豪達の物語を魅力的に引き出す、彼女の存在は大きいです!今ある名作の殆どが、彼女の力によって完成したのだと想像するとワクワクします!本の読み方、感じ方、楽しみ方を教えてくれる、哲学書のような魅力を感じる神秘的な本でした。

2016/09/04

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