ルイーズ・ブルジョワ 糸とクモの彫刻家
ルイーズ・ブルジョワ 糸とクモの彫刻家 / 感想・レビュー
旅するランナー
六本木ヒルズにある巨大クモ「ママン」作者の生涯を描くアート本。母から教わったタペストリーデザインが美しく描かれ、やさしくゆれる音色に包まれるようであり、胸をしめつけるようであり…。子ども時代の魔法、その神秘も、悲劇も消えることがない人が、本物のアーティストなんだろうなぁ…
2019/01/02
ケロリーヌ@ベルばら同盟
六本木ヒルズに優雅に佇む、巨大な蜘蛛のオブジェ『ママン』の作者ルイーズ・ブルジョワの創作の源となった、母への想いが、赤と藍色の線描と滲む色彩で綴られる美しい絵本です。豊かな川の流れと自然に囲まれた環境で家業のタペストリー修復をする母の姿を見て育ったルイーズ。12歳から手伝いを始めた彼女にとって、母は師であり、親友でもありました。古びてすり切れた織物を、丹念に辛抱強く繕い、繋ぎ合わせて修復する。それは、クモが繊細な糸で巣を張る姿を思わせました。…『ママン』に会うためだけに六本木ヒルズへ行きたくなりました。
2021/05/28
しゃが
あの巨大クモ「ママン」のオブジェを制作したルイーズ・ブルジョワのルーツを描いた絵本。幼い頃から母がタペストリーの修復をいろいろな糸でしている姿を見てのイメージがクモ、それは何があっても何度も何度も糸を出し、巣を作りつづけること。やさしい母との絆がその後におおきな影響を与えていることがよくわかる。何といっても、布や糸好きにはアートで美しい絵本、さすが西村書店さん。
2018/11/21
Kawai Hideki
六本木ヒルズの巨大蜘蛛のオブジェを作った彫刻家の伝記絵本。外観もオドロオドロしく、名前も「ママン」と、なんだか「母性の闇の側面を表したアート」のように思っていたが、どうもそうではないらしい。作者のルイーズは、もともと川岸で縫製工場を営んでいた家庭に生まれ、彼女のお母さんも毎日、織物を繕って生活していたそう。彼女のお母さんの「糸を使って壊れた布を修復する仕事」が、クモの姿と重なっていた、ということらしい。「クモは巣を壊されても怒らない。もういちど糸をはきなおすだけ」という力強い言葉に感動した。
2021/12/25
アキ
ルイーズ・ブルジョワは世界的な彫刻家。クモの巨大オブジェ「ママン」は、六本木ヒルズにある。彼女の子どもの頃からの生涯を美しい絵とともにLA在住のエイミー・ノヴェスキーが文を乗せる。70歳を越えてMOMAで世界的に評価された彼女のインタビューで、なぜクモなのか?という質問に「生き延びるため」と答えた。その時代いかに男尊女卑であったか。「そうしないと切り抜けられなかった」母親の思い出とクモの糸を重ね合わせて黙々と作品を作り続けた。子供の頃のつらい思いを一生忘れなかった。2010年98歳で逝去。絵が素晴らしい本
2018/11/23
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