言葉の色彩と魔法
言葉の色彩と魔法 / 感想・レビュー
らぱん
パウル・クレーを思わせる表紙絵に惹かれジャケ買い。大型本で59の掌編すべてにカラーの挿絵付きという贅沢な作品。子供のころの回想、幻想的なお伽噺、説話、小咄、随筆など盛りだくさんだ。千夜一夜さながら、寝る前に少しずつ読んだ。中でも著者の出自のシリアと周辺の民族色の濃いエピソードが愉しかった。欧州と中東、その違いが起こす日常的で小さな事件を笑い話にして、普遍的な人間関係に落とし込み、そこから民族、文化、宗教、政治などを俯瞰できる。軽やかでありながら核心に迫り、なおかつ洒落が効いている。面白かった。↓
2019/06/23
りらこ
美しい絵と、濃い話。どこか冷めた目で描き出す人々の姿。カラーの絵はパラレルワールドのようで主題のついても考えさせられる。筆者の人生も考えてしまうし、おとぎ話の不思議な雰囲気も、異国的でありながら、ナマの人間ってきっとみな同じなんだなと感じる。ひとつひとつは小粒だけれど、濃い一冊だった。#Netgalley
2019/07/01
学び舎くるみ
読み進めるうちに不思議な感覚に包まれる。クリスチャン色が濃い話が続く。子供の頃の懐かしい話をしていたと思ったら、亡命とか出てくる。ダマスカスからドイツに亡命したという。中東といえば、聖書と紛争しか思い浮かばず、そこで生まれて生きている人たちの生活を感じることが今までなかったせいだろう。アラム語を話す人がまだいたというのも驚いた。時に考え込み、時に声を立てて笑いながら読み終えた。肉屋の話と父の訪問の話が印象に残った。シャミの妻ロート・レープによる挿絵によって一層温かい雰囲気に仕上がっている。
2019/05/24
ぱせり
くすっと笑える小噺や風刺や皮肉、家族や故郷への思い、子ども時代への憧憬、季節や風景を詠った散文…ゆっくり読むのがいい。隙間の時間に一つ二つと時間をかけて楽しみに。どこでもぱっと開いたページから繰り返し読む。「語りの魔法使い」は、いつでも、どこからでも語り始め、たちまち別世界に連れていってくれる。
2019/10/06
おだまん
奥様の素晴らしい絵とともに多彩なお話の数々。薄くて短いけれどとっても濃い内容。何度も読み返して味が出る一冊だなぁと思います。
2019/06/08
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