満洲鉄道まぼろし旅行
満洲鉄道まぼろし旅行 / 感想・レビュー
KF
これは面白かった。発想が見事。実際に昭和12年に滿鐵で旅をした人の記録をもとにした空想の旅行記。昭和初期の満州が既にかなり近代的な都市群であったことがうかがえる。同じ発想で、今となってはなかなか情報の無い樺太や朝鮮半島北部の旅行記や空想の旅行パンフレットでもあったら良いのだが。 楽しかった。
2017/12/24
印度 洋一郎
1937年当時の「満洲国」を旅してみよう、というヴァーチャル旅行記。大連から始まり、超特急「あじあ号」に乗って、首都新京、古都吉林、国際都市ハルピン、北の果てチチハルまで、現存する当時の旅行パンフや店の広告(土産物屋からカフェやキャバレーまで)、果てはホテルのレシートまで使ってリアルに旅路を再現する。温泉やスキー場、松花江の船旅など、日本人にとって、満洲がいかに楽しく、繁栄を謳歌する土地だったが如実にわかって面白い。現地の人には全然楽しくなかったのだろうが、帝国主義時代の支配民族は美味しい立場だったのだ。
2012/06/13
Gen Kato
「満州」という土地が立体的にわかりやすく楽しい、いい本でした! 「満州国」とは何だったのか、戦後70年の節目にあらためて学ぶには最良の一冊。
2015/07/13
デューク
1938年8月、夏休みを利用して建国4年目の満州国を訪れたサツキとヤヨイの兄妹が、満州を旅行するという架空旅行記。 旅行記自体は架空だが、豊富な写真と史料は本物を使用しており、「まぼろしの国」満州国の参考資料としては一級品である。最も衝撃的だったのは、満州国には国籍法がないという事実。つまり、「国民」は一人もいない国なのだ。満州国が歴史に咲いたあだ花であると言われるのは、この辺りにも理由があるのではないだろうか。
2015/10/12
なおえつ六*花
祖母が満州に住んでいたと知り、急に色々と調べ始めて手に取った一冊。大連、ハルビンには実際に行ってみたので、この本を読みつつ、昔の雰囲気を想像しました。大連の街には、この本に掲載されたような昔の大連の建物が数多く残っています。敵国であった日本のヤマトホテルや昔の銀行の建物を重要文化財として保存してくれている大連の人々には、本当に感謝しています。亡くなった祖母が見た建物と寸分違わぬ姿を今見ているのだと思うと、涙が止まりませんでした。 物語で乗っているあじあ号は今、瀋陽の博物館で展示公開されているそうです。
2019/05/23
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