吉田健一頌
吉田健一頌 / 感想・レビュー
渡邊利道
新世代の批評家たちによる主に晩年の吉田健一論に、柳瀬訳フィネガンが付録する。丹生谷の論は十八世紀の存在論的連鎖における有限性に自足した存在としての「人間」を、近代の神経症的目的化からときはなつ、「世紀末」の人間としての選択として、その「人間の再建」を見る。中井久夫の精神病理学的論考を図式的な下敷きに用いた刺激的な論考で非常に面白い。四方田は『変化』について差異の算出ではなく同一のものの反復としての「変化』を、松浦寿輝は小説作品での主語-術後関係を仔細に検討してその小説世界の成り立ちを論じる。
2017/03/26
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