ミノタウロスの誘惑
ミノタウロスの誘惑 / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
性愛小説家として有名なアイナス・ニンが1958年に発表した自伝的な小説。この小説の中では性的なことはほとんど書かれていないが、美しく濃密な官能的な文体が使われており、読んでいると五感を強く刺激された。主人公の女性リリアンはメキシコに行き、そこで本来の自分を取り戻す。「まるで夢に導かれるように出発する」という書き出しから分かるように、メキシコへの旅は彼女の内面への旅でもある。熱帯の伸びやかでおおらかな人々を描きながら、ニンは欧米の窮屈で干からびた社会やそこに生きる人々を(続きます)
2018/03/07
やまはるか
「ラリーの両親は、彼が生まれるときに、子供など必要ないと思っていた。リリアンはそれがどんな結果つながったのか、考えてみることにした。」こんなふうな説明文が多い。説明文ばかり読んでいると、教科書を読まされるように受け身の読書になっていく。ミノタウロスのトピックも観念的で題名に引くほどの重さを持たない。現代の作品とばかり思って読んだが1958年から長く読み継がれている事実を知って意外な気がした。
2018/10/20
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