ヴァレリーの芸術哲学、あるいは身体の解剖
ヴァレリーの芸術哲学、あるいは身体の解剖 / 感想・レビュー
しゅん
独特の身体研究で注目を集める伊藤亜紗の処女作。想像以上にグッときた。「書く人」と思われてきたヴァレリーの身体性に着目する序論から面白く、その後もひたすら刺激的な議題がてんこ盛られてる。阻害や抵抗に出会うことで「持続」の感覚が生まれるという時間論、「拍子」のような客観的な反復を持たないものとしてのリズム論などは、魅力的ながら謎も多く、悩みながら読むのが楽しい。「詩」の定義は今までで一番納得した。表現や研究、そして生活とは何かを考えなきゃいけない時に最良のパートナーとなる本だと思う。夢や野望が湧いてくる。
2020/10/27
Bevel
むちゃくちゃよかった。扱う主題が全部興味深い。議論も深い。著者の他の本も読みたい。
2018/06/09
あくつさとし
ヴァレリーが目指した「詩による身体の解剖」とは、「私たちの他動性・偶発性と出会い、自己についての知を深める」こと。 その観点でいうと、この本自体も「詩」と呼べる。生理学と詩の繋がりが、ここまで明快に腑に落ちるとは思わなかったな。
2020/03/27
kyakunon22
突然だけれど、私はヴァレリーが苦手だ。詩そのものを解さない私は、とりわけヴァレリーの常軌を逸したほどの精密さには近寄ることさえできない。 しかし、この本はそのような気持ちを少し和らげてくれる。何しろこの本によれば、ヴァレリーが論じたかったのは形式詩そのものではなく、「詩的なもの」らしいのだから。 本書はヴァレリーを、とりわけ「読者の読書体験」という水準に注目して展開していく研究である。私たちは詩句を読むことで知らない経験に出会い、身体を更新していく。
2019/12/26
よよよよぴ
学ぶところが多かった、こういう主観的な議論の進め方と割り切り方と理解の仕方。美学の議論のやり方も学ばないとな。
2019/08/02
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