平田オリザ戯曲集 3
平田オリザ戯曲集 3 / 感想・レビュー
hamham
前回『南へ』を読んだ時も「前衛演劇よくわかんねー!!」と叫んだのだが、今回も同様に叫んだ。そもそもこの戯曲の読み方が分からない。上下二段に分かれていて、それを“並行に読め“と書いてある。つまり上段と下段で同時に芝居が進行しているのだ。劇場でみたら上手と下手で二つの会話がされていることになる。観客はどちらに注意を向ければいいのだ?解説によると、これは能のシテとワキを意識して書いているという。ガヤガヤとした中でも重要なセリフはもう一方のグループが聞いており、そうすることで芝居が成り立っている…らしい…。
2017/08/25
モルテン
「火宅か修羅か」、何かが起きている。それは家族それぞれの心の中だったり、十数年ぶりに集まる高校の部活の仲間たちの胸の内だったり、舞台の奥だったりする。けれど、舞台上の人々の会話はとても静かでなめらかでのっぺりしている。「ああ」、「すいません」、「いえいえ」、その繰り返しで過ぎていく。修羅は水の中で戦っている。だが水面は波風立っていない。ほんの少しのさざ波が、何かが起きていることを示している。「暗愚小伝」、高村光太郎の一生を描いた戯曲だけど、小さなお話。
2017/11/17
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