スコープ少年の不思議な旅
スコープ少年の不思議な旅 / 感想・レビュー
あき
★★★★☆ スコープのレンズを覗いた先に広がる世界。誰もいない昼下がりの部屋、蝋燭の灯る夜の部屋、ベッドのヴェールに影がゆらめく部屋…スコープを覗くたびに様々な箱庭にトリップするようです。光の入れ方によって影が出現したり、昼から夜になったりと雰囲気がガラッと変わります。小さな箱におさまった世界なのに奥行きが感じられ、窓の外には別の世界が広がっているようです。やわらかな光に照らされ、閉鎖的なのにどこかに繋がっているような、物語を感じさせる素晴らしい作品でした。
2017/08/30
柊渚
手のひらにのるくらいの小さな箱。 そっとスコープ越しに覗いてみると、そこに広がっているのは小さな別世界。アリスの部屋。セロ弾きのゴーシュの部屋。ナルニア国へ繋がっていく扉。何度も何度も夢想した物語上の世界が目の前にあって、胸がきゅっとなりました。 桑原弘明さんが創りあげる美しい小世界に、巌谷國士さんの精緻な文章…まるで夢のような本。フェルメールの部屋や、『微かな記憶』『月の光』『雨音』の箱は、ずっと眺めていられる。装丁も手のひらにおさまる小ささで、とっても素敵です💫
2021/08/07
さく
桑原弘明さんの「スコープ」という作品を写真に撮って文章をつけた作品集。手のひらサイズの小さな箱に筒状の覗き穴がついていて、そこを覗くと、不思議な世界が広がる。ライトを照らすことで、その世界が二転三転する。これは、本物を見たいなぁ。
2018/03/12
YO)))
スコープとは『ジャメ・ヴュ(未視)とデジャ・ヴュ(既視)とがひとつのものになる小さな宇宙』。一辺10cmほどの直方体から筒が伸びており、その先のレンズを覗くと、ミニチュアの部屋が眺められる。特筆すべきは幾つかある採光穴に当てる光の加減によって、光景が-例えば昼から夜へと-実に美事に一変すること。不思議のひと、巖谷國士が部屋々々を旅して綴った"紀行文"も味わい深い。
2015/11/15
さく
桑原弘明による“スコープ”という名の造形作品の写真に巖谷國士が解説文をつけた作品集。手のひらサイズの箱についた筒の先のレンズを覗くとミニチュアで作られた部屋がある。部屋の外の風景もあって、光の使い方で朝夕と時間まで変わる!不思議な美しい世界。写真でこれだけ感動的ということは本物はどんなにか素晴らしいだろう。
2016/05/18
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