パット・ホビー物語
パット・ホビー物語 / 感想・レビュー
suzukimaru
エスクァイア紙にフィッツジェラルドの死(1940年)の前後に連載されていたサイレン時代に活躍したが今は落ちぶれ酒と競馬に依存しつつしぶとく一発逆転を狙っている脚本家パット・ホビーの奮闘を描くコミック17篇。晩年の苦境からは想像も出来ない軽妙さが感動的だ。市民ケーン以前のウェルズとパットが入れ替わる話や自分の名前がクレジットされた作品の試写会に入れない話。そして大学の教授達の前で思いつきでカレッジフットボールの話をデッチ上げる『パット・ホビーの学生時代』。この唖然としてしまうオチがこの短編集を忘れ難いものに
2017/01/05
nightowl
落ち目のライター、パット・ホビー。自称40代(実際は49歳)の情けなきあがきの日々。こんな日々もまた人生、というフィッツジェラルドの声が聞こえてきそうな作品。プロット作りの巧さに感心する。どんなときにこの言葉が出るのか?「お湯を沸かして、たっぷりと」落ちに爆笑「父と呼ばれたパット・ホビー」本人たちが幸せならそれで…「パット・ホビーの試写会」珍しく役に立つパット・ホビー「やってみるのも悪くない」あいつだって昔はひよっこだったのに「時代遅れの二人」落ちぶれたダメ男が好きな人には(?)是非ともお薦めの一冊。
2016/12/26
yyrn
フィッツジェラルド=華麗なるギャツビー=1920年代の繁栄を極めたアメリカが舞台、と勝手な思い込みのまま(表紙もそんな感じだし)本を読み始めたが、舞台は大恐慌後の30年代後半のハリウッドの映画会社とその周辺で、主人公はサイレント時代に活躍したが今は落ちぶれた49才のシナリオライター。作家自身とダブルが、まあとにかく、努力もせず、こずるいことばかり考えている、実に情けないヤツなのだが、読み進めていくと、まあそういう生き方もあるかなと思えてくるのだった。古き良きアメリカ映画の雰囲気がヒネリをもって味わえます。
2017/05/02
amanon
主人公が自分とほぼ同じ年齢の独身男ということで、つい身につまされてしまった。それはともかくとして、確かにかつての栄光にすがりつく、アル中気味の主人公に一抹の悲哀を感じるものの、その反面妙に狡猾で抜け目がなく、いい格好しい、それでいてへまばかりしてしまうその性格と行動はどこか日本の漫画めいたところがあるのが不思議。不遇をかこった著者の最晩年の作品だが、その割には全体的にはカラっとしたユーモアを感じさせるのが印象的。作品の殆どが基本的にバッドエンドだが、一つくらい、ハッピーエンドで終わる作品が欲しかった。
2017/02/04
エイサノオト
短いのに面白いなあ。
2017/04/22
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