一市民の反抗: 良心の声に従う自由と権利
一市民の反抗: 良心の声に従う自由と権利 / 感想・レビュー
松本直哉
君の投票権のすべてを投じよ、ただの紙切れではなく、君の影響力全体を、という呼びかけは、投票による民主主義への懐疑であり、多数派が少数の声を消すことへの抗議である。政府の悪政を、投票ではなく行動によって批判する。著者の場合それは奴隷制度と戦争を行う州政府への納税を拒むことだった。当時は百万にも満たなかっただろうマサチューセッツ州の人口を考慮すれば、納税拒否にも一定のインパクトがあったかもしれない。しかし一億の人口の日本で同じことをしても、どうなんだろう。投票も行動もなにもかも虚しく思えてしまう今ここ。
2021/07/24
allite510@Lamb & Wool
ガンジーやキング牧師にも影響を与えたという「市民的不服従」に関するエッセイ。「市民はその良心を一瞬であれ、あるいはほんのわずかでむ立法者に譲り渡さなければならないのでしょうか」など、率直でまっすぐな言葉の数々に震える思いがする。今の自分にこれほど強靭な「良心」が果たしてあるかというと、ちょっと(だいぶ)自信ない。ちょっとずつ譲り渡すことに、少し慣れてるかも。
2016/04/02
Quoirez
当時の隷制にお金を使うアメリカの人頭税に反対するために、払わずに逮捕されたソローの考えが綴られている。非暴力で抗議に出ることはガンジーの考えにつながり、ガンジーはこの本をいつも持ち歩いていた。その時々の社会通念で決まる法律や正義とは曖昧なもの。それよりも自分の確固とした価値観、正義感を持つべきという考えを持つことができ、私にとってのバイブル。
2008/02/11
ほーく
私の唯一の正当な義務は私が正しいと考えることをいつでもすること。 奴隷制度を促進する政府に対して、市民的不服従を掲げそれを実行に移したソローにとても感銘を受けた。たしかに、行動としては人頭税を支払わないという小さいことであったかもしれない。でも、それは自分の良心に従い、流されることなく自分を貫き、市民的に行動したのだ。それは、礼儀正しく、穏やかで、思いやりがあり、暴力的でないということだ。そんな、非暴力抵抗の原点となり、キング牧師やガンディーそして、ナチス支配下のベルギーの民に大きな影響を及ぼしたのだ。
2018/06/07
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