異形の愛
異形の愛 / 感想・レビュー
紅はこべ
書評家の豊崎由美さん絶讃の作品だったので、楽しみにしていたが、難儀した。フリークスがフリークスを作る、フリークス版フランケンシュタイン。異形な者たちの愛、愛そのものが異形。歪んだ形でしか愛せないアーティ、これほど怖いカルトの教主は知らない。語り手のオリーが最もまともに人を愛せた唯一の登場人物かも。
2017/05/23
柳瀬敬二
原書。障害を扱う文学というと、障害を克服し強く生きる人々を描くというのが普通頭に浮かぶが、フリークショーを営むBinewski家とその周辺ではuniqueはnormalより優れているという逆転した価値観が成立している。やがて兄妹の成長とともにArtyを頂点としたカルトが形成され、入信したnormalな人々は自らの手足を切り落とす。外見的フリークと内面的フリークが入り乱れ進行する物語の中で、私達が持っているnormalという概念が破壊される。久々に奇書に出会ったという感覚を味わった。
2017/02/05
澤水月
2017年、何と30年の時を経て河出より復刊。三読めの感想は若い頃と全く違い作品の凄さがさらに染みた。この間に私に父母死に、甥生まれたからか→ https://bookmeter.com/reviews/65009512
2017/07/20
ちーさま
サーカス団の夫婦が見世物にするためにあえてフリーク(奇形)を作り産み落としていくという新鮮な世界観のあらすじに心惹かれる。腕や足がないアザラシ少年、美少女のシャム双子、ピンクの目のせむし娘、一見フツウなのに超能力をもった子。フリークファミリーの愛のカタチとは。うう。私はこれ本当にダメだった…多分、内容は悪くないんだと思うけどとにかく読みづらい!誰が喋ってるのかもわからないし何をしてるのかもわからない…。大したオチでもなかったし…。頁数多いのに読みづらいせいで今月はほとんどこれに費やしてしまった…悔しい〜!
2017/11/20
くさてる
フリークとして生を受けた語り手の私の、少女らしい家族への感情と、家族みなを従える存在として成長していく長兄アルチューロ、愛らしくもしたたかなエリーとイフィー(イフィーが語るフツウの男の子への愛の断念の重さと哀しさに、わたしはうちのめされました)、最高傑作としての力を持ちつつも、生命を壊すことをなにより恐れる純粋なフォーチュネイト、かれらの運命を夢中で読み続けました。そして、現在のオリーが選んだ結末の重さに、ため息が出ます。大胆な設定にたじろぐことなく、読んで頂きたい本だと思います。
2010/04/01
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