モモコさんと僕
モモコさんと僕 / 感想・レビュー
燃えつきた棒
まず最初に、この本のことを教えてくれた内島すみれさんに感謝したい。 彼女のマンガ評論集「トートロジー考」を読まなかったら、おそらくこの本には出会えていなかっただろう。 悲しくも、美しい本だ。 ロマン・ガリ「夜明けの約束」や岡野雄一「ペコロスの母に会いに行く」などと並んで、「母本」の永久保存版として、繰り返し読んでいきたい。 著者のマンガ作品集「花ちる町」も読んだが、僕にはこちらのエッセイの方が、より直接的に心に響いた。
2020/09/09
内島菫
漫画家・アニメーター・イラストレーター・画家という肩書を持つ著者の、余技といえば余技であるエッセイだが、興味深く読めた。それは私に、著者の漫画の謎を多少とも解くための参考にしたいという思いがあるからだが、それだけではなく、著者自身も自身が漫画に描いてきた母を中心とした自身の家族の謎を解いてゆく過程も含む二重構造であるからだろう。また、半分は著者の母の介護記録でもあるが、その前からのうつの症状や後の老人性痴呆の兆しを見せる母・桃子さんの言動もまた、戦後の混乱以上に謎を生み出していて語弊があるが魅力的である。
2018/11/30
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