戦後占領期短篇小説コレクション 4 1949年 (4)
戦後占領期短篇小説コレクション 4 1949年 (4) / 感想・レビュー
ポカホンタス
必要があって、藤枝静男の「イペリット眼」だけ読んだ。眼科医が書いただけあって、眼科の所見が本格的で、この作品にリアリティーを与えている。ただ、舞台は戦争末期の軍隊という狂気に満ちた世界であり、医学所見がリアルを与えるという状況そのものが異様である。医学所見そのものが持つ不気味さも際立つ。この頃のコロナ禍において、したり顔でマスコミに出てくる「感染症専門家」が撒き散らす医学用語にも同様の嫌悪感が感じられる。
2020/05/10
soccer
戦後まもない時代に、文学を愛する作家たちが 制約のなかで書いた作品は、読んで然るべきです。
2014/06/03
さんくん
妻がいなくなり、無頼な生活を送る作家の苦悩を描いた上林暁「禁酒宣言」が面白かったです。飲み屋のマダムにいいようにあしらわれる男、それを家庭で待つ子供たち。酒に溺れることが戦後をやり過ごす条件であったなら、その影で耐え忍ぶ子供たちの戦後は、なお何かを待つことに当てられていたといえるでしょうか。
2019/06/26
感想・レビューをもっと見る