鶴見和子を語る―長女の社会学
鶴見和子を語る―長女の社会学 / 感想・レビュー
どんぐり
社会学者の鶴見和子さんの最後の10年は、「最後まで残れる欲は知識欲いまわに近く好奇心燃ゆ」歌人であった。脳出血で倒れたとき、それまで学者として学問の世界で生きてきた彼女のもとに歌が戻って来た。哲学者の鶴見俊輔、俳人の金子兜太、歌人の佐佐木幸綱、司会役の黒田杏子が語る歌人・鶴見和子の世界。それは鶴見俊輔にとって、「あなたは一生私をばかにしていたんでしょう」という姉を語ることでもあった。
2013/08/18
fonfon
「心と言葉の距離が近いとふつうはてれる、しかし鶴見和子は照れていない。」という佐々木幸綱の指摘に頷く。77歳で斃れてのち、再び新しく生きた人。弟の俊輔は「前の80年は世の中のしきたりにしたがって努力する道すじ、あとの10年は前半生の実績蓄積から養分をくみ取って表現した、こういう生涯の形はめずらしい」と。死ぬことははじめてだからおもしろい、という言葉は和子さんが発すると負け惜しみには聞こえない。「克明に描きておかんこれよりはひとり旅なる死への道行」「睨めっこ飛び立ち難き蝶の眼と身動きならぬ車椅子の我」
2013/12/13
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