魔女とシャリヴァリ 〈新版〉 (叢書『歴史を拓く 「アナール」論文選』 1)
魔女とシャリヴァリ 〈新版〉 (叢書『歴史を拓く 「アナール」論文選』 1) / 感想・レビュー
人生ゴルディアス
阿部勤也の著作で見かけた気がするシャリヴァリだが、時折他の本でも見かけはするものの、印象としては、結婚した夫婦に対する嫉妬交じりの祝福的なものだったが、全然違った……。高齢寡夫と若い娘の結婚、あるいはその逆、男女問わないDV、浮気、等々、夫婦間について共同体の中で白眼視される問題があった場合に行われる行為のようだ。が、ル・ゴフは単に家の前で騒ぐ行為、くらいまで抽象化している。論文自体古い物ばかりなので、この論証は論証になってるのか、感想ちゃうんか、と不安になるところもある。
2021/06/14
Kikuchi Hiroaki
シャリバリとはいわゆるモラルエコノミーの一種。西洋の農村社会において、何らかの形で富の不均衡が生じる恐れがある時、その者の家などで主に若衆が、ドンチャン騒ぎを仕掛けて立退料《シャリバリ税》を要求したりする現象のことである。現象の構造や祝祭的な雰囲気は未開民族のポトラッチと類似する点もあるし、近代国家の税制度などは、これらの疎外されたかたちと見て良いと思う。シャリバリのばあい、とくに結婚・離婚・再婚など、セクシャルな規範と絡む問題が原因となって生じやすいのが特徴のようで、このことは、いかに中世社会に於いて、
2012/09/28
hajimemasite
名前の通り、魔女とシャリヴァリに関する論文集。個人的には、魔女に関する部分が特に面白かった。研究手法、研究結果を「物語る」という手法に関し、この著作はいい参考例となると思う。
2014/10/28
四号戦車
シャリヴァリがアメリカに伝わりクークラックスクランになった可能性があるという指摘は達見
2020/06/26
夏目葵
魔女とシャリヴァリは、共同体の安定機能を担っていたと分析することができる。まず、「魔女」に関してである。ペストなどの被害を受けて存亡の危機に陥った共同体は「魔性」への恐れを抱くものとされた。この「魔性」は可視化されない存在であり、民衆に漠然とした恐怖を与える存在であった。恐怖は共同体の中に蔓延し、共同体はさらに不安定化する。そこで、共同体を一体化させるために一つの敵がたてられた。恐怖の矛先として立てたものが「魔女」という存在であった。「魔女」という共通の敵を打ち立てることで共同体は一体化し、安定化した。
2013/01/27
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