大薮春彦伝説: 遥かなる野獣の挽歌
大薮春彦伝説: 遥かなる野獣の挽歌 / 感想・レビュー
西澤 隆
実は1冊も読んでいない大藪春彦(笑)。他の著者の「○●ノベルス」収録本の無残さを嘆いていたら読書メーターともだちに「餓狼の弾痕」を紹介されたので、到着までに読むKindleUnlimitedもの。筆者が大藪春彦を紹介する筆致には、ふと清水義範の「商道をゆく」を思い出した。あれは司馬遼太郎「街道をゆく」のバスティーユだったのだけれど、力入りすぎで無茶な描写をするこの本での大藪伝説に、どこか重なるんだよなあ。さて、そのうち届く本を楽しみにしていよう。しかし、きっと1冊でおなかいっぱい。そんな気がします(笑)。
2019/03/02
お笑いループシュート
『餓狼の弾痕』の衝撃が覚めやらなくて「大藪春彦とは、どういう作家だったのか!?」と知りたくなり読みました。 大藪春彦をここまで書き殴らせた原動力は、中国大陸で産まれたという疎外感と権力に対する激しい怒りだった。 銃と車とセックスと暴力と殺戮さえ書ければ、プロットもストーリーも他人の作品からの剽窃でさえも、どうでも良かった。 全ての作品の主人公が、作者の大藪春彦の分身だったのだ。 『餓狼の弾痕』がアレな感じになったのも、自分の書きたい描写だけを極限にまで濃縮させた結果だったのだろう。
2019/07/25
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