やなせたかし全詩集
やなせたかし全詩集 / 感想・レビュー
ito
『詩とメルヘン』の編集長だったやなせさんの詩集が読みたかった。図書館には分厚い辞書のような本書しかなかったが、借りてみた。やなせさんの詩には、特別な形式はなく口語体の散文のようだ。社会では決して脚光を浴びることのない本当に小さな存在、例えば枯れ木やパン屑を慈しむ。やなせさんはそれらの存在に劣等感を抱えたご自分を反映されてたのではないかと思う。全ての弱い存在を自分の事のように感じるその純粋さにうたれて泣けてしょうがない。絶望と希望は隣同士。やなせさんのように、弱い人や困ってる人に寄り沿える人間になりたい。
2014/11/17
メルティ
「やさしいライオン」を読んだときも思ったけど、本当は、子どもよりも、大人の心に寄り添った作品を描かれる作家さんだったんですね。どの詩にも、孤独感やさみしさが根本にあるけれど、それらを抱えて生きていく人間の強さや、かなしさを全て包み込むような、温かみも感じられます。飾り気がなくて素直な詩に、やなせさんのお人柄が伝わってくるような気がしました。
2013/11/25
呉下の阿蒙
てのひらを太陽に/ アンパンマンのマーチ/ 老眼のおたまじゃくし/ てのひらのうえのかなしみ/ 白い街/ あこがれ/ 人間なんてさみしいね/ 四月の空の下/ 五月の森で/ サボテンの花/ 紫の川/ ひかげの花/ 浪漫的風景/ 楡の木はおぼえている/ マスクの怪人
2019/04/09
葛
2007年1月15日初版発行 著者:やなせたかし 発行者:小島哲夫 発行所:北溟社
2020/09/03
・
やなせたかしさんの詩集はこれまでも読んだことがあるが、晩年の作品は凡庸で、40代から50代当時の作品がキレキレであるように感じた。有名になり、富と名声を手にいれたからか、それともただお年を召されたからか。『愛する歌』シリーズは、今後も読み返すと思う。
2016/10/09
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