季節のしっぽ
季節のしっぽ / 感想・レビュー
あ げ こ
荒れ果てたまま、埃だらけのまま、汚れたまま、壊れたまま、伸びっぱなしのまま、ごちゃごちゃ、もさもさのまま、動かないまま、可笑しなまま、無言のまま。とにかくそのまま、ただ自分であるのみ、それ以上でもそれ以下でもないものたちばかりあるし、いる。実に不穏で、平穏で、静かで、猥雑で、長閑であるなあ、と思う。もわもわっと、匂ってくる。鼻と皮膚で感じる。暑さも、眠たさも、冷たさも、不安も、楽しさも。気怠いような、物憂いような、寂しいような、うっとうしような、嬉しいような、馴染み深さとともに、もわもわっと、匂ってくる。
2018/08/27
Koki Miyachi
季節の断片が微かに感じられるモノクロームのスナップ写真。一見脈絡がない、ややメランコリックで投げやりな調子のエッセイ。漠然としたもの悲しい季節感が全体を覆う。表現したかったのは、そんな不確かな気分なのだろう。静かな空間でスローなボサノバを聴きながら読んでみたら、なかなか良かった。
2013/11/20
ジュースの素
武田泰淳・百合子夫妻の娘の花さんのエッセイと写真。古ぼけた町の一角や何気ない片隅の写真がいい味を出す。短いエッセイはなかなかシュールでエ?と思う物も。 20年前の本ながらもっと古い香りがある。 たまにこんな本を読むと心がリセットされていい。
2018/09/23
timeturner
これ、エッセイじゃなくて小説だっけ?と思ってしまうほど変な人がたくさん出てくる。そういう巡りあわせなのか、どんな人とでも自然体でつきあえる人だからなのか。猫と廃墟の写真が現実から少しずれた文章によく合っていた。
2018/04/24
冬薔薇
図書館の百合子さんの本の隣にあったので借りる。モノクロフォトエッセイ。文章は百合子さんゆずり。写真に人間はいない、猫と廃屋、海。
2016/09/16
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