嵐の中の生きがい (ランティエ叢書 27)
嵐の中の生きがい (ランティエ叢書 27) / 感想・レビュー
あきあかね
城山三郎の晩年の随筆集。人生を達観した、微光に包まれたような穏やかな筆致が心地よい。 若き日に海軍で組織の「こわさ醜さ」を身にしみて感じた経験も、年月が経つにつれ、作家としての肥やしになったと前向きに捉えられるようになった自身の変化。渋沢栄一や金子直吉といった「陽」の代名詞の実業家の短歌や俳句から垣間見られる翳りや弱さは、隠れた繊細で柔らかな心を浮き彫りにする。歳を重ねることで、自己や他者を見つめる著者の目がより澄明になっていくように思えた。⇒
2023/02/08
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