黒衣の聖母 (ハルキ文庫 や 1-3 山田風太郎奇想コレクション)
黒衣の聖母 (ハルキ文庫 や 1-3 山田風太郎奇想コレクション) / 感想・レビュー
たみき
極限状態におかれた人の狂気とか戦争による悲劇とか胸をえぐられる作品ばかり。同日同刻を読んだ時みたいに、すごく重い余韻。考えてしまう。
2014/09/24
ネムル
戦争ものを集めた短編集。南洋の島を舞台にした作品は、忍法帖にも通じる荒唐無稽というには現実との距離が近すぎていまいち楽しめず。敗戦後の虚無を感じさせる作品がやはり面白い。「新かぐや姫」ほどの闇も衝撃もないが、表題作は生きがい喪失の虚無とトリックがうまく噛み合った傑作として、一読忘れがたい。「風太郎の物語は人間を絶望の淵に追いつめる。しかしそのとき人間は人間であることに自覚する」という松山巌による解説は至言。
2024/01/20
支祇
戦争は人間を異常なる獣に変えてしまうのだな、と。戦争がもたらす真の悲惨さ・奇怪さを描いている作品。凄惨なシーンもしっかり描いているので、変に戦争を美化していないところがすごくいい。
2014/12/13
c
この本に収録されている敗戦小説の幾つかが、「戦後変格派・山田風太郎」で言及されていたので読み返してみたくなり、本の山の中から引っ張り出した。改めて読んでみても、やはり風太郎の初期短編は内容以上に、本来長編になるべき作品の、そのシノプシスを読まされているような歯痒さが強い。しかしこれらの短編に肉付けし、大衆的な文章表現を抑えると所謂「戦後文学」になってしまうし、そんな凡庸さは風太郎が最も嫌うものであったろう。特にこの短編集の「魔島」の地獄絵図など、風太郎が属した「第三の新人」世代の筆致では到底描き得まい。
2013/12/04
Kom
一部既読。戦争に関わる薄暗い雰囲気で展開されるミステリで、傑作揃いなのは流石山風。ベストは表題作か『戦艦陸奥』。
2015/08/18
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