怪奇探偵小説集 1 (ハルキ文庫 あ 4-1)
怪奇探偵小説集 1 (ハルキ文庫 あ 4-1) / 感想・レビュー
シガー&シュガー
【真夏のホラー読書月間】参加。昔の小説の素敵なところは会話のくすぐったさ。松浦美寿一の「B墓地事件」の魂となって訪れた友人との会話シーンは(文章的には拙いながらも)美しくてうっかり萌えた。怖いと言えば殺人やカニバリズムよりも、異常人とレッテルを貼られて陥れられたりするパターンがつくづく怖いな、と(橋本五郎・地図にない街)。知らぬうちに他人に利用され、最後は社会的に抹殺されてしまうパターン…怪異や幽霊に出会うのと同等かそれ以上に勘弁願いたい…。2、3と続くらしいので機会があったら読むつもり。
2015/08/14
Kouro-hou
なかなか濃いアンソロジー。戦前の探偵小説というカテゴリなので普通に怪奇小説です。幽霊的なモノはあまり無くてグロ系が主体でしょうか。おどろおどろしい一辺倒でなく、ユーモア的なモノも間に挟まれていて緩急ついた編成。「怪奇製造人」なんかは壁に投げつけたくなります。(褒め言葉)
2013/07/22
alpha_ralpha
倉田啓明の「死刑執行人の死」が集録されていると知り購入。編者削除部分の多さに苦笑。
2014/04/14
アサギモ
玉石混淆含めて計18作品が醸し出す怪奇な世界観に、ただ酔いしれた。作者の有名無名問わずに興味をそそられるような作品を編纂した鮎川氏のセンスもまた素晴らしいと思えた。かなり幻と称されるような作品も含まれており最早贅沢としか言いようがない。いや全く、これだから短編ってのは奥深いんだ!って叫びたくなる程に、短編としての面白さを改めて脳髄に叩き込まれた。小酒井不木の「死体髑髏」のっけから伏線貼ってたのね。肩の力が抜けましたよ、和尚さん……。村山槐太の「悪魔の舌」18.9歳でカニバリズムをテーマにこの筆力は驚嘆。
2012/10/18
Tetchy
戦前・戦後の探偵作家の怪奇短編を集めたもの。とはいえ、怪奇に対する考え方が現在と当時では明らかに違う。当時流行ったフリーク・ショーといった見世物小屋の舞台裏に光を当てて怪奇の正体を眼前に見せ付ける、これが現在の怪奇と決定的に異なるところだ。これはこの短編集の名前が怪奇「探偵」小説と銘打たれているからで、ほとんどが最後に論理的に怪奇が解決されていたのが特徴的だ。全作品を通じて思ったのは、これらは怪奇小説集というよりも残酷小説集の方が正鵠を射ている事。玉石混交の短編集だが、なぜか妙に惹きつけられた。
2009/09/03
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