妖女のねむり (ハルキ文庫 あ 7-1)
妖女のねむり (ハルキ文庫 あ 7-1) / 感想・レビュー
緋莢
瀧井朝世『あの人とあの本の話』に収録されていた米澤穂信のインタビューで触れられていて、興味を惹かれた作品です。古新聞、古雑誌の回収をした柱田真一は、樋口一葉の遺稿らしき紙を発見。それを調べる過程で、美しい女性・長谷屋麻芸と出会いますが、彼女から「前世では恋人同士だった」と告げられます。導入の樋口一葉の遺稿らしきものが出てきて、というのは良かったのですが、それ以降が…勿論、単純に「前世で恋人同士」というので終わるのではなく 真相もあるのですが、それも含めて自分にはあわなかったです。
2019/07/08
ネムル
再読。輪廻転生の大胆なまでのはったりと、多くの悲しみを秘めた繊細な手捌き。すっかり内容を忘れた頭には、先の読めない物語に夢中になってしまった。にしても、関係者一同が吊り橋を渡って、アジールにて謎解きがはじまり、ラストは炎で終わるって妙にロマンチックで好き。
2021/12/27
うい
輪廻転生をテーマにしたミステリ。しかし冒頭は主人公・真一が古紙回収のアルバイトで発見した、樋口一葉の遺稿と思しきものの真贋を確かめるところから始まる。なかなか転生に纏わる話にならないなあ…と思った頃にようやく西原牧湖の生まれ変わりだという真芸と出会う。序盤から転生譚までの先の読めなさ、中盤から終盤に掛けての衝撃的な展開で読ませる力のある作品でした。輪廻転生という大きな謎をタネに、風呂敷を広げすぎじゃないかと思いましたが、そこをなんとか成立させる泡坂氏。流石です。
2019/01/22
トトリベ
輪廻転生という壮大なテーマを、壮大な仕掛けによって構築した作品。明らかにされた真相の全体像はすさまじいものですが、手がかり・伏線の出し方に感服しました。解決編にて「あっ、これは○○で出てきた描写だ」と、ページを戻さずとも頭に浮かび上がる、「引っかかり具合」がまさに絶妙。
2014/04/02
ゆーいちろー
ありがち?にして、現実的な古紙回収の場面から始まり、物語は一息に超常的な展開へと突入していく。輪廻転生の実在ということを一つの軸にして、それを読者に信じさせる前半の物語展開は圧巻といえる。そして、同じ事象をまったく別の組み立て方で解体してしまう後半の謎解きも、また圧巻である。思えば、一人の人間の執念と、時の流れによって成立した本書のトリックは、京極夏彦の京極堂シリーズ的世界観のはしりのようにも感じられる。
2010/11/21
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