喜劇悲奇劇 (ハルキ文庫 あ 7-2)
喜劇悲奇劇 (ハルキ文庫 あ 7-2) / 感想・レビュー
ゆーいちろー
最初は主人公兼探偵役は楓七郎かと思ったが、予想以上に飲んだくれで脱落。それでは美しく聡明なにわか弟子である真がそうなのかといえば、どうもそうでないらしい。と思っていたら、物語の中盤から突如として現れた、芥子之助なる人物が、実は実はの名探偵役であったという、別の意味でアンフェアな印象がぬぐいきれない。奇術ネタもあるし、ストーリーも面白い。泡坂節ともいうべき作中に何となく漂う胡散臭さも健在です。ただ、今回の読みどころはただ一つ、「回文」に尽きます。これぞ、芸というものでしょう。
2010/10/24
にゃー
読みやすいのは天藤真っぽいからか、金田一少年っぽさもあるな、しかし回文とミステリってどう絡ませるのかと思ったらしっかり考えてあったさすが泡坂せんせ、そしてお前が探偵役だたのか、
2017/09/25
星屑の仔
分かるんだよ。泡坂さんの筆力の高さ、そして人物描写の妙、物語に組み込まれる回文を模した名前と、技巧に関しては疑う余地すらない。しかし思うのだ、思ってしまうのだ、「それがどうした?」と。同作家の「生者と死者」や「しあわせの書」を見ても思う、そこに施された謎とトリック、それに感服の2文字が相応しいと。でもだ、どうしても「それをやる意味があったのか」に行きついてしまう。今回だってそうだ、名前を回文にする必要性があっただろうか。名前を回文にしないと成り立たない事件と解けない謎だったか。そう考えてしまう自分がいる。
2017/09/11
みお
回文すごい!凝りに凝った言葉遊びは、さすが泡坂さん。奇術師・泡坂さんの本領発揮な内容もおもしろかった。
2011/07/04
Tetchy
『しあわせの書』ではある仕掛けを、『生者と死者』では袋綴じを開けば短編小説が消え、長編小説になるという離れ業を演じた泡坂妻夫が今回選んだのが回文。それも章題が全て回文、登場人物、ことさら被害者の名前が全て回文。序章と終章の題がそれぞれの逆さ言葉になっており、おまけに物語の最初と最後の1行も回文という徹底振りだがやはりこういう遊びに凝ると物語の結構が疎かになってしまうのは無理もないのか。ちょっと残念。
2009/05/14
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