牙のある時間 (ハルキ文庫 さ 9-1)
牙のある時間 (ハルキ文庫 さ 9-1) / 感想・レビュー
SJW
北海道の小さな町に引越をして、創作活動に専念することにした絵描きの守谷とその妻の久美が、隣人の農場主と出会いインモラルな日常に巻き込まれて、事件に巻き込まれるホラーミステリー。佐々木さんの作品は健全な北海道警の話か戦争ものと考えていたが、この作品は異色でかなり戸惑ってしまった。少女が行方不明になり死体で発見される展開には年齢は違えど新潟女児殺害事件を思い出し辛くなってしまう。ミレーの川に浮かぶ「オフィーリア」の絵がこの小説の流れを暗示しているが、あまりにもインモラルな解釈で腹が立った。(続く)
2018/05/16
がたやぴん
佐々木氏の警察小説を読むぞと手に取ったら違ってたw。殺人は起こるし、警官もチラッとでたし。⚫︎⚫︎⚫︎読書中の思考回路を紹介⚫︎⚫︎⚫︎第一部。なるほど、一人称?ふん、叙述かっ!刑事はまだかな♪。やけに長いプロローグだな。第二部。ん?視点違いか。多重人格?いやいや獄中からの作中作かっ!残り5ページぐらいなんだが。そうか!ドラッグで夢落ちのパターンかっ!!もう残り1ページ。えっ?安楽椅子的に最後の1行に刑事登場なん?で、で、で、出ませんけど。。。なるほど同一背表紙の見事な錯視トリック。騙された(泣)
2016/07/30
キムチ
警察モノのフアンなら同じ感想を持つ人が多いんじゃないかな。私は×。絵描きの夫婦が北海道の小さな町へ。訳アリ移住 隠遁生活に。隣人円城夫妻と絡みは官能のスワッピングへ。幾人か 介入する一般人も今イチ非常識人間ばかり。繭にくるまった2組の男女が行きつく先は穏やかならざるのは当然。1部は守谷妻・2部は守谷のモノローグで展開。エンディング3部は真相を提示するのだが不消化感150%。地元ネタをとてつもなく膨らませたオカルトホラーだけに荒唐無稽は当然だけれど、中途半端に現代テイストを絡ませているのが私は好みじゃない
2022/05/16
まあちゃん
嫌いじゃない。だが作家初読み作品に選ぶには異色すぎたようなので、もっと代表作も読みたい。解説にもあるが、「藪の中」的ストーリーで、かつホラー。妻視線と夫視線の一人称で語られるが、微妙に食い違いを見せ、結局どうなのー!とハラハラと最後までひっぱられる。円城が人狼で何人も殺害してるのか、はたまた常軌を逸し記憶が途切れている夫が実はやったのか。いくつかの可能性が頭をよぎる。真相はやはり藪の中...。
2015/09/02
RIN
東京から北海道の芸術家村に転居した画家とその妻。隣人は英国の館を移築して住む元地主の夫妻。隣人との付き合いが怪しさ妖しさを増す中で悲劇は起きる…といった感じかな。1998年初出のかなり昔の本。佐々木さんには珍しいエロティックなホラーなのだが、不思議と、やっぱり佐々木譲さん作品だよねぇ、なのだ。淡々粛々と語られる経緯がどこか『廃墟に乞う』を彷彿とさせる。が!このジャンルを極めて欲しいとは思わないかな(笑)
2019/02/15
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