わが一高時代の犯罪 (ハルキ文庫 た 10-4)
わが一高時代の犯罪 (ハルキ文庫 た 10-4) / 感想・レビュー
セウテス
〔再読〕刺青殺人事件がデビュー作の天才神津恭介ですが、この作品は彼がまだ学生であった一高時代のミステリーです。東大付属高校である一高内で起こった事件を解決すべく、ドクターこと神津恭介と相棒で大食漢の松下研三が、コンビを組んで活躍します。他にも個性豊かな旧友たちが登場する作者にとっても珍しい短編集です。人間消失事件としての結末には少し物足りなさを感じますが、天才神津恭介のベースを覗ける嬉しさが有ります。戦争を目前に控えて、将来の展望に出兵を排除出来ない中での、青春群像を読む事ができる大切な作品でもあります。
2014/12/01
北白川にゃんこ
昭和初期の逃れられない陰鬱さに溢れたおもひで!神津恭介でも犯人が分かっても手を出せなかったりするのだなあ。
2018/08/19
優日
「追憶は美しいものである。まこと、忘却の霧は、はるかなる時の彼方にわだかまる苦悩と悔恨とをおおいかくし、美しきもの、なつかしきもの、心うたれる思い出だけを、鮮やかに浮かびあがらせるものであろうか」
2017/11/10
浅木原
神津恭介の学生時代を描く中編2本。時計台からの人間消失ものの表題作は、消失トリックは別に面白くないし事件の背景も時代設定を考えれば簡単に見抜けるけれども、戦中の一高を描いた時代青春小説としては味わい深い一作。でも砂時計の音ってそんな響くか? 神津の恋を描いた併録の「輓歌」はいきなり山田風太郎と荊木歓喜が出てきて吹いた。そういや合作したんだっけ。神津の恋にはさほど興味は湧かないけど、こっちも戦中期の青春小説として読める。ミステリとしてはシンプルな〝死体の装飾の理由〟もので、小粒だけどこれはこれで。
2016/04/09
冬至楼均
併録作品は初読。時代背景もあるけど、物悲しい悲恋。
2015/08/12
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