運河の果て
運河の果て / 感想・レビュー
臓物ちゃん
29世紀、テラフォーミングしたら本当にローウェルの運河が出てきた火星を舞台にした、赤い大自然の情景描写が実に見事なロードノベル&ポリティカルサスペンス。成人のときに自らの性別を選択するという火星の文化が本作のSFとしてのキモのひとつなのだが、女性差別が未だ根強い火星の現状でそれやって男女がちょうど半々になるなんてないだろと中国一人っ子政策のあれこれを知ってる身としては思う。しかしそんな細かい不満を差し引いても随所で煌めくSF魂に魅了される一冊。
2022/02/06
ユウティ
ああ、やっぱりすっごく好きだなぁ。アニスとトシオの、火星の運河をめぐり、遺跡を訪ね、星空を見上げて、5億年前に滅びた原火星人に想いを馳せる旅。政治家リンは人工都市アヴァロンで、木星スフィアという2人とは逆向きの遥か先の夢を持ちながら、地球火星vs外惑星の調停者誘拐事件を追う。ラストに向かうにつれて加速する物語ももちろん良いが、中盤までのゆったりとした火星の空や大地の描写が好きだ。子どもを産む女性性が神聖視されているところもあるけれど、舞台が火星や宇宙都市ならばそれも当然なのかもしれないなと思う。
2020/06/02
ユウティ
『周りに目を向けると、一瞬眩暈に襲われた。すぐそばにある地平線から千億の星々の海が立ち上がり…』『自分と同じように星空を見上げながら他の生命について思いを巡らせている者たちはどれくらい居るのだろう?その生命はどこへ行こうとしているのだろう?何をなそうと…』あーおもしろかった!この人の世界観が好きだ!自分の中ではトシオとアニスの運河を巡る旅で感じるものがメインで、他の要素はその彩りのような感覚だった。静かでいて、でもスケールの大きなラストが素晴らしい。表紙にもすごく惹かれる。文庫化してほしいな。
2013/10/14
butapenn
宇宙叙事詩ものと政治陰謀ものとESPものがミックスした感じ。
2012/05/14
Tadashi_N
火星の改造が進んだとんでもない未来の話。脳内埋め込みは当たり前。
2011/11/30
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