学校英語教育は何のため? (ひつじ英語教育ブックレット 2)
学校英語教育は何のため? (ひつじ英語教育ブックレット 2) / 感想・レビュー
ラテちゃん
内田樹と鳥飼玖美子の対談が読みたくて手に取る。学校の英語教育を強化しグローバル化に対応しようという政策に警鐘を鳴らす一冊。日本語は土着の話し言葉の上に漢語が乗ったハイブリッド言語であり、外国の言葉、すなわち母語には存在しない概念を翻訳する際に、母語的基盤には手を加えず、ヨーロッパ言語を元々外来語である漢語に置き換えるだけですむからこそ、どんな外国語も翻訳できる世界でもたぐいまれな言語という。また母語は死者との対話を可能にする言語である。母語を軽視してまで日本は英語を公教育で国民全体に普及させたいのか?
2015/03/04
Riopapa
現在、ものすごい勢いで英語教育改革が進められているが、ほとんどが成果が出ないで終わるのではないか。それよりも、コミュニケーション重視の授業に変わったこの20年を総括すべき。特に高校と大学の授業の成果について。
2015/08/29
hayatama
前作に比べて急いで作られた感は否めないが、英語教育によってなにより日本語運用能力が豊かになるという論点が強調されており、その点については全く異論がないところ。その辺は、以前に読んだ渡部昇一の主張ともかぶるところかも。平泉渉が、こうした議論をどう考えているのか非常に興味があるところ。巻末に収録されている鳥飼先生と内田先生の対談は、噛み合ってるのか噛み合ってないのか分からないと見せかけて、その実深く噛み合ってるということで必読。小学校で教えるって一体どうするつもりなんでしょうねぇ。
2014/08/21
Nobu A
前巻「英語教育、迫り来る破綻」に続き、読了。本著は英語教育の目的論を主題に4名の英語教育界の重鎮が語る。前回同様、それぞれの執筆者の論文収録。政府の英語教育政策を綿密に省察した江利川論文が一番興味深い。外国語教育の四目的の一つが英語と日本語を比較して母語の認識を深めるとある。そして、大津論文が外国語教育は母語と連携して行う重要性を説く。巻末の内田樹と鳥飼玖美子対談が感興をそそられる。碩学の内田先生が英語教育に様々な視点から怜悧なメスを入れ、話を広げてくれる。2014年初版。もっと早く出合いたかった。
2021/09/25
けくの太郎
大学の英語科教育法の講義だったり、教員を目指す学生のための入門書だと「翻訳文化」の否定が多い印象ですが、本書で翻訳文化・翻訳主義が日本にもたらした大きな影響や、オーラルだけに偏ることの危険性を植民地の観点から述べられていたのは、今後の英語教育のあり方を考えていくうえで、とても参考になったと思います。
2015/01/05
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