日常の椅子: 菅原克己の風景
日常の椅子: 菅原克己の風景 / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
菅原克己の詩を山川直人が漫画化した作品集。私は不明にして菅原克己という詩人の事を知らなかった。本書収録作品のうちの1作は、ちくま文庫の『ハモニカ文庫と詩の漫画』に収録されているのに気がつかなかった。巻末には菅原克己の年譜漫画があるのだが、なかなか反骨なところがあり、それを知ったうえであの優しい詩を読むとまた奥行きの深さを感じた。山川直人の絵がまた良い。いつも思う事だが、切り取って小さな額に入れて眺めたい。おすすめ。
2020/02/28
へくとぱすかる
山川直人さんの描く、モノクロの、版画のような画面は、大げさな表現や深刻さを嫌って、生活の哀歓を多く描いた菅原克己の世界そのもののようだ。あくまでも静かに流れるノスタルジックな時間。「ブラザー軒」もそうだが、コマの進め方と詩のリズムが、とても良くシンクロしている。山川さん自身も、高田渡の曲から菅原克己の詩集を買い求めたのだそうだ。とある書店に何年も置かれたままで、いつか買おうと思って、なかなか踏み切れなかった本。やっとレジに持って行けた日、係の人はスリップ(売上・注文カード)も抜かないで手渡してくれた。
2022/12/05
ATS
そっと底を流れている貧困の雰囲気が温かいというのもおかしいけれどなんとも心地よかった。なにかの拍子で菅原克己という詩人を知り調べているうちに以前よんだ山川直人さんの『ハモニカ文庫と詩の漫画』に収録されていたことがわかり本書を手に取ることとなった。菅原克己の全詩集を重版され販売されているようで欲しいという気持ちもあるがなかなか高価なので悩んでいる。詩そのものもちろんよいけれど漫画化するというのはなかなかいいなぁと。詩単独とはまた違う味わいがある。
2023/10/17
さすらいのアリクイ
詩人、菅原克己さんの詩を漫画家、山川直人さんが漫画にされた、描かれた本。僕は詩は普段ぜんぜん触れることがなかったのですが、山川さんの太い線で描かれた馴染みのある画のおかげで菅原さんの詩の世界にすっと入りこむことができました。お金のない男に女がデパートで売られているものを喫茶店で楽しそうに語る「あいびき」、生活と娘のために画家の父親が偽札を作る「<贋札つくり>について」、主人公の創作活動の模索、苦悩や希望が書かれた「ヒバリとニワトリの鳴くまで」など色んな詩が載っています。巻末には菅原克己さんの略歴の漫画も。
2017/08/26
アーチャー
"なるほど、こういった漫画の描きかたもあるよな"と納得させられました。しかし、菅原克己という人、共産党から除名されるって、よほど頑固な人だったのかな?
2016/08/24
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