きのこ文学名作選
きのこ文学名作選 / 感想・レビュー
(C17H26O4)
連日の雨で…室内の植物の土に、昨日ほっそりとした白いきのこがひとつ、嘘のように生えました。そんなきのこ日和に、この一風変わったきのこアンソロジーを読めた喜び。き、き、きのこ〜♪まどみちおさん作詞の「きのこ」の歌が脳内に流れました。毒(読)きのこの作用でしょうか、わたし少しハイになったみたい?読んでいるだけで変な気分になるなんて、きのこには相当に摩訶不思議な力がありそうです。きのこに自ら身も心も捧げている人物、そうとは知らず菌糸に侵されている人物。皆あやしく、哀しく、狂おしく、きのこに支配されていました。
2019/07/17
コットン
「胞子文学名作選」が良かったのでこちらのアンソロジー本も鑑賞。楽しい凝ったつくりに驚かされながら読み進める。特に加賀乙彦の『くさびら譚』のとぼけたキノコマニアの教授との掛け合いが面白かった。きのこ系のためか北杜夫、南木佳士、加賀乙彦と医学を修めた作家の作品が目立った。
2014/08/03
らぱん
形状として存在としてきのこが好きなので夢中になった。16編のヴァラエティに富んだアンソロジーで、きのこに特化しているのもマニアックだが、ブックデザインの奇抜さに驚いた。凄い。表紙や扉に穴が開いていて序文は扉の裏に穴あきを縫って印刷してある。作品に合わせて紙もフォントも文字サイズもインクも変えてある。カラー図鑑めいた手書きのキノコの絵があり、黒い紙に白抜きの文字で4行の詩を白紙(黒いが)に20頁を当て、銀の紙の上の埋没した灰色の文字は光の角度を合わせながら読んだ。紙の本の魅力を満喫し、物欲が刺激された。↓
2019/08/10
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
『胞子文学名作選』に続いてきのこ文学も。小説、詩、短歌、狂言など、きのこ文学のアンソロジー。凝った装丁(胞子よりかはおとなしめですが)。わら半紙のような紙が多く、ちょっと頁をめくりにくい。『きのこのアイディア』が銀色の紙に薄いグレーの文字で書かれていて読めなかったのが残念。加賀乙彦と南木佳士の2人の作品がお気に入り。泉鏡花は相変わらず読めない。悲しい。狂言もおもしろかった。舞台で見てみたいなぁ。どの作品も、きのこのユーモラスな面と、湿度のある不気味な増え方の両面が現れているまさにきのこ文学だと思った。
2015/12/06
マリリン
お洒落で凝った装丁に驚いたが、加賀乙彦「くさびら譚」以降読み進めながらきのこ探しをしている自身に苦笑。八木重吉の「あめの日」と共に何度も読んだ。南木佳士「神かくし」、高樹のぶ子「茸」も面白い。古今物語集や狂言集の作品等収集されたきのこ文学は幅広く興味深い。長谷川竜生「きのこのアイディア」は車中では見えず自宅で読んだ。北杜夫「茸」は文字が寝転がった時点で読むのを断念、倒立までは付き合い切れないかった。いしいしんじ「しょうろぶたのルル」は童話か。詩や俳句、文字やイラスト以外でもきのこの魅力を存分に楽しめた。
2020/08/03
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