ボズのスケッチ
ボズのスケッチ / 感想・レビュー
のっち♬
駆け出しの新聞記者だった当時20代前半の著者は、短編小説を新聞や雑誌に載せることで作家としてのデビューを果たした。それはごく平凡な市民生活の情景や風俗を絵でスケッチするのと同様の気持ちで、ありのままに描き出そうとする趣旨のもので、人物の戯画化や表現の誇張を巧みに施したよく知られる後の長編小説とはやや趣の異なる内容になっている。ジャーナリストとして活躍した数年間の修練は決して無駄ではなく、その成果が鋭い観察と的確な描写によく現れているし、独特の温かなユーモアや社会の闇への眼差しも既にここに窺うことができる。
2018/05/06
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