磯崎新+篠山紀信 建築行脚 (6) 凍れる音楽 シャルトル大聖堂
磯崎新+篠山紀信 建築行脚 (6) 凍れる音楽 シャルトル大聖堂 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
パリから南西におよそ90km。ヴェルサイユを過ぎて、やがてボース平原に忽然と現れる壮麗なゴシックの建造物ーそれがシャルトル大聖堂である。ほんとうに美しい佇まいだ。青銅の屋根の青緑も石の壁面の輝く白も。美観の上からはない方がいいフライング・バットレスまでが美しい。内陣がまた見事である。正面から入れば130mの通廊の奥に祭壇があり、その距離感もいいのだが、何といっても荘厳なのはその高さである。しかも、それが圧倒的なまでのステンドグラスが施され、私たちはその光の中に言葉を失って立ち尽くすのである。
2021/06/17
KAZOO
磯崎さんと篠山さんによる世界の有名な建築物行脚の写真集です。この巻ではフランスのシャルトルの大聖堂が取り上げられています。お気に入りさんの感想を読んで図書館から借りてきました。私はこの聖堂のステンドグラスが大好きで、フランスに行ったときには必ずパリからの日帰り観光バスで見ることにしています。私が若いころに井上靖の「化石」という小説で知ってそれから虜になりました。この本ではその魅力を建物からステンドグラスまで余すことなく描かれていて現地に行った気になりました。
2019/06/28
夜間飛行
シャルトル大聖堂は、サン・ヴィターレのようにそれが日本にないことに嫉妬を覚えさせない。スコラ学によって宇宙のアナロジーを構成するゴシックの大聖堂は訪れる全ての人を受け入れている。リブや飛び梁に支えられて伸びあがる垂直性。その露出した空間は神学大全に基づいて分節され、色とりどりのステンドグラスが神の姿を幻視させながら《交響楽》を奏でている。著者によれば、こうした光の神学ともいうべきゴシックは現代の都市空間に散見され、ただしそこでは《神》の代わりに無秩序な欲望が支配しているという。ゴシックは遍在しているのだ。
2019/06/20
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