曾根崎心中
曾根崎心中 / 感想・レビュー
ミカママ
【恋愛小説強化月間】あああ、ダメダメ、これも。涙止まんないじゃん。まだ子どものころに手にしてしまった水上勉さんの『五番町夕霧楼』以来、遊女モノにはめっぽう弱い私…。「あてはあの男に会うために生まれてきたんや」。ですよね、運命の人ってホントにいると思うし、会えばすぐわかる、もしもこの世で結ばれなければ、来世できっと…。
2016/08/18
hiro
近松門左衛門の『曾根崎心中』を角田さんが翻案した作品。『曾根崎心中』を文楽や歌舞伎で観たことも、原作を読んだこともなかったが、角田さんの文章はたいへん読みやすく、特に初や徳兵衛が話す古い感じの‘大坂弁’が心地よく、古典を安心して読めた。心中ものといえば、でてくる男が頼りないという先入観があったが、徳兵衛が本当に初のあとを追ったのかを角田さんはぼやかして書いているが、これをどのように捉えたらいいのだろうか。考えすぎかもしれないが、『八日目の蝉』のふがいない男達とみていると、もしやの結末かと思ってしまった。
2012/06/16
いつでも母さん
『姐さん、生まれてきてよかった?恋のない人生なんて、やっぱし犬にくれてやりますか。姐さん。』=私たちにただ一つ残された未来がなんであるか=あの世で一緒に・・来世は必ず・・追い詰められた二人が添遂げるにはこの方法しかない。そんな恋は嫌です。なのに、なのに惹かれます。苦手な角田さんの作品だとて、この装画には私の心も掠め取られる。苦界だからなのか?そんな恋が出来た女は幸せだったと思いたい。では、では男はどうだろう?ねぇ、ほんと?一緒に・・心の中は分からないが分からぬままが幸せなのだろうさ。
2016/09/09
風眠
近松門左衛門の戯曲を現代語に訳し、小説に再構成された作品。言葉のひとつひとつが美しくて、場面が鮮やかに目の前に立ち上がってくるような文章だ。語り手で主人公の初が胸の小箱をそっと開けるように、郭での生活、姐さんたちのこと、忘れかけている故郷のことを語っていくことで、郭でしか生きられない女の哀しみや恨み、ささやかな幸せを言わずもがなのうちに表している。徳兵衛への恋心を募らせていくところは、まるで私に初が乗り移ったかのように、胸が苦しくなり涙が止まらなかった。今年読んだ中では一番の本、手元にいつも置いておきたい
2012/02/09
ケイ
さすがは手練れの角田さん。遊女を描いても、客との絡みをかいても、そこだけが浮かび上がることはない。遊女が男に惚れるってことは改めて大変なことだと、やめられるものならやめとけば良いのだ。惚れてもどうしようもないから遊女なのである。嘘か誠か誰がわかるか。自分の言葉も相手の言葉も。近松の曽根崎心中は完全に理解したわけではないけれど、お初の切なさにはあまり目を向けない。女だからこそそこを角田さんはかきたかったのだろうな。おはっちゃん、本当に信じていたの?と。 ああ、浄瑠璃でみたいな。
2016/07/29
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