逃れの森の魔女
逃れの森の魔女 / 感想・レビュー
mae.dat
世界観が格好良い。グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』のパロディになっていて、お菓子の家に住む魔女にスポットを当てているの。似鳥鶏著『レジまでの推理』で扱われていて、そこから流れて来ましたよ。ずっと魔女目線で進行して行きます。元々信仰心に篤い産婆さんでね。そこから(嵌められた?)女魔術師となるのね。悪魔と対峙したり、悪魔と交渉する場面の心理描写が秀逸ですよ。ラストはオリジナルのシーンをそのままに、深い愛の物語に作り変えられているのは流石です。確かにもっと日本人にも知られるべき本だと思います( ¨̮ )。
2023/11/19
☆よいこ
児童書。グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』の魔女の話。ひとり娘のアーザを愛している[醜い女]は産婆として信頼されていた。近所に住むバーラに誘われ、治療師として仕事をするようになる。美しいものに心を奪われないように、悪魔と対峙していたが、アーザの為にと欲を出し失敗する。ひとり魔法の森へ逃げ出した[醜い女]は何年も隠れ住む。そこへ、ヘンゼルとグレーテルがやって来て孤独な魔女の心を癒す。しかし悪魔の手が伸びてきて…▽醜く孤独な女の悲しみ。童話の陰にひとりの女性の苦しみがあった。
2021/07/25
NAO
『ヘンゼルとグレーテル』のお菓子の家の魔女を主人公とした物語で、もともと彼女は魔法を使う女たちの村に住む有能な産婆だった、という設定。人の役に立つことを生業としていた彼女が、どうして邪悪な魔女になってしまったのか。ヘンゼル・グレーテルと出会って以降の魔女の葛藤が描かれている。この作品では、最後に魔女とグレーテルが理解し合ったかのように描かれている。作者は、この魔女をただの悪人にはしたくなかったのだろう。
2022/02/09
星落秋風五丈原
一時たりとも気を許せず世の中全てを敵と見なさなければ生きてゆけない彼女の緊張感が伝わる。それでも尚、触れ合いを、暖かな言葉の応酬を求めてしまう。それこそが体がどんなに変化しようと、彼女が人間である証拠なのに。まるごと彼女を理解できる人はもういない。孤独な彼女と狡猾な悪魔の戦いは、見ているだけで息苦しい。童話に登場するエピソードの数々が魔女側の心情描写を交えて描くと、全く異なる印象を残しながらも、いずれも説得されるに十分な力を持つ。段々と文章を短くしてここだ!という所で終わっている幕切れまで一切の無駄なし。
2003/12/09
ぽろん
「レジまでの推理」で紹介されていた本。「ヘンゼルとグレーテル」の魔女が主人公。想像以上にとっても、切ない魔女でした。
2018/07/04
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