彼らは廃馬を撃つ
彼らは廃馬を撃つ / 感想・レビュー
黒い森会長
1935年刊行。殺人事件の裁判、主人公はその被告人。判決を言い渡す裁判長の言葉とともに、主人公は回想してゆく。彼女との出会い、一緒に参加したダンスマラソン、そして殺人。最後の主人公の回想で、表題と彼女を殺した動機?が描かれる。人物描写や動機描写を排除した文章で描かれる「ハードボイルド」の作品。現在は白水Uブックで入手できる。と思う。
2020/01/02
Voodoo Kami
救われない物語を成就させるに最適な出自を持つ登場人物たちと1920年代という時代状況があまりに際立っていて、その無常さとやりきれなさにしばし沈黙。かといって読後感がダウナー一辺倒かと問われればそうでもなく、マラソンダンスという3週間踊り続けるコンテストの描写はある種の滑稽さを帯びているし、世界からも誰からも愛されたことのない女性グロリアとペアを組んだ主人公の語りは、淡々と彼女の虚無を綴りながらも最後にはそこに自らの少年時代の悲劇の記憶を重ね合わせてどこか優しい。どんづまりの安息は最低な幸福だろうか。否。
2015/07/03
脂肪分
2001/12/20
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