中上健次集 (8)
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中上健次集 (8) / 感想・レビュー
Yanqiu
『紀伊物語』は、大島に住む路地と関係なく生きてきた道子が、自らの母を探して路地に来るという見慣れない始まり方をしながら、中上健次らしい流れを辿って終わります。オリュウノオバの死、路地の者同士手を取りあう死をのぞむ中本の一統の半蔵二世、どちらも路地を象徴する人物そして血統であるからこそ路地の解体、崩壊に呼応している……道子が淫乱な母の血に目覚めていくさまがどこまでも美しく官能的です。
2018/04/17
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